目次
制作業をやっていると、クライアントに別のクリエイターを紹介することがあります。ひとくちにウェブ制作といっても、やはり専門・非専門、得手不得手がございますので、「これはうちじゃなくて別でやってもらった方がいいな」と感じたときは正直にそうお伝えした上で、我々の知り合いか信頼を置ける人を紹介するのです。
ただ、私たちが紹介したクリエイターがそのクライアントにとって“いい業者”になるかと言えば、一概にはそう言えませんね。私たちが腕も人柄も信頼している人であったとしても、そのクライアントに合う・合わないは実際にやってみてもらわないとわからないし。
実は、クリエイターとお付き合いをするにはちょっとしたコツがあります。今回はこれをお題にお話いたしましょう。
クリエイターのパフォーマンスを上げるには、あなたのファンにすればいい
この記事のタイトルどおり!これに尽きます。
少し想像していただければわかるかと思うのですが、誰かに何かを頼まれたとき、その人との関係性やその人に対する印象で随分と気持ちが変わりませんか?クリエイターはもちろんプロですから、クライアントによってパフォーマンスに差が出るようなことは基本的にあってはならないことです。我々だって、どんなにイヤなお客さんでもベースのサービスは安定して提供します。(とてもありがたいことに、今は素敵なお客さまばかりですけどね!)
そう、結局は人間同士。マッチ・アンマッチも好き・嫌いも出てきます。ただ、ここが合わないからとて手を抜いたり逃げたりするやつはプロじゃないぞ!万が一「これはもうあかん……あまりにもあまりや……」となった場合も、黙って手を抜いたり逃げたりするのではなくて、きちんと交渉をした上で改めて業務調整をするのが我々クリエイターの責務であり仁義です。まぁそんな事態が発生するのは滅多にないことなので今回は語りません。
今回お話したいのは、100%のサービスを120%、150%、それ以上の価値に引き上げるということについてです。
例えば、あなたがケーキ屋さんを営んでいるとしましょう。そこに毎週のようにケーキを買いにくるDUCK WORKSという客がいるとします。よくよく話をしてみると、なんと、DUCK WORKSはウェブ制作をしているとのこと。
あなたがウェブサイトの制作を検討している、とDUCK WORKSに話すと、あなたの作るケーキとお店の雰囲気その他諸々が大好きなDUCK WORKSは、かなり食い気味にペラペラと有用な情報を喋るでしょう。
そうなれば占めたものです。食いしん坊なDUCK WOKSのことですから、「あぁーーこの店のサイト作りてぇーーー!私たちならこの店の魅力をこれでもかというほど表現できるのに!!」と思っているはずです。
この状態のDUCK WORKSはもはやテンションMAX。あなたのケーキ屋さんを盛り立てるためのさまざまなアイディアをぽんぽん出してくること請け合いなのです。
……とまぁこれはかなり極端な例ですが、極端に言ってしまえばこの状態にクリエイターのテンションを持っていくと、クリエイターのパフォーマンスが格段に上がる、というお話ですね。当然ながら、制作物のクオリティも上がります。
相手が制作会社でも、担当者をあなたのファンにするといい
私が長らく勤めていた会社でも、担当者をファン化するのに長けたクライアントさんはめちゃくちゃいい仕事を創っていました。
制作会社の場合、仕事はすべて営業さんが繋いできますし、クライアントと直接やりとりをするのはプロジェクトマネージャーやディレクターであって、クリエイターが直接クライアントに会うことはほとんどありません。それでもやっぱり、プロジェクトとして良好な関係のクライアントとは、いいお仕事ができるのですな。
で、制作会社の中でもプロジェクトに人員を宛がう(アサインする、と言います)ときは、そのクライアントにマッチしそうな人材を選出することが多いです。もちろん人員には限りがありますので、あまり細やかなマッチングはできないときもありますが、それでもやっぱり“合う・合わない”がメンバーのパフォーマンスや制作物のクオリティに影響することを考慮してアサインを行います。
ということは、この時点で“あなたのファンになる素質がある人”がアサインされていると念頭においてプロジェクトをスタートさせると、全体がええ感じになる可能性が高まります。名前も顔も見えないクリエイターが、
ということは、この時点で“あなたのファンになる素質がある人”がアサインされていると念頭においてプロジェクトをスタートさせると、全体がええ感じになる可能性が高まります。どうすれば、名前も顔も見えないクリエイターがディレクター越しにあなたの事業やあなたを好きになるのか?という視点を頭の隅っこに置くだけでも、業務進行のスムーズさやクオリティの向上に寄与するはずです。
クリエイターのテンションを上げるために
これ、実はそんなに難しくないんです。
先ほど挙げたケーキ屋さんの例では、業務を依頼する前にDUCK WORKSが勝手にそのお店のファンになっている設定でしたが、業務が開始してからそのクライアントのファンになることも多々あります。もちろんクリエイターさんによっていろいろあるとは思いますが、ここでは私が実際に「これがあるとテンション上がるわー」ということをお伝えいたします。
私が実際に……と、私が主語のお話ではあるものの、大体のクリエイターさんも似たポイントをお持ちだと思うので、ぜひ参考にしてくださいまし。
情報や資料は全部出す
「たくさんあるから全部出すのもなぁ」とか「他にもあるけれどとりあえずこれだけでいいかな」とか、そういう判断をする前に何でもかんでも出してみることをおすすめします。
大抵の場合、クリエイターは情報に飢えています。もちろんリサーチもするし情報収集もするのですが、それでもやっぱりクライアントから直接もらった情報・資料に敵うものがないこともよく知っています。
身も蓋もない言い方をすると、クリエイターは制作の専門化なので、クライアントの業種においては素人です。素人がどんなに頑張ってリサーチや情報収集をしても、付け焼刃の知識にならざるを得ません。
もちろん、お仕事をする中でどんどん知識や経験を吸収して育っていくのもクリエイターの仕事です。だからこそ、クリエイターは情報に飢えているわけです。理解や成長のスピード感を上げるためにも、情報提供は惜しまずされるのが良いと思います。我々DUCK WORKSも、場合によっては、クライアント側に勉強会を開催してもらって、知識の素地づくりから始めることがあります。
で、専門性が高い業種の場合は、思いきって〇〇業専門の制作業者です!と謳っている業者に依頼するのも手です。特にライティングやイラスト制作ね!専門性が高い情報を文章やイラストにするには、付け焼刃の知識では対応できないことが多いです。
あなたの仕事への愛を出しきる
情報や資料は、愛をもって伝えてこそ一般顧客にとって有用なものになります。「この資料をあげるから、適当に原稿作って」「○○という競合他社のサイトがよくできているから、そこを参考にして(パクって)」……なんて形で出された情報や資料は、どんなにクリエイターが丁寧に手を入れたところでその程度のものにしかなりません。
なので、DUCK WORKSでは最初の原稿は必ずクライアントに書いてもらうようにしています。もちろん、「頭を悩ませて作ったカタログやパンフレットがあるから、これを使って!」というような場合は別ですよ。だって、それらは既にクライアントが一生懸命“伝えようとして”作ったものですからね。
とにかく、原稿作成を一番の頑張りどころと捉えて、あなたの仕事への愛をぎゅうぎゅうに詰め込んだ原稿を作るのがおすすめです。文章が下手で……といった思いを持たれているあなた、そこはご安心あれ!それこそ、ライターに任せればいい範囲です。ライターがクライアントからいただいた原稿に手を入れるということは、あなたの愛のこもった原稿をより魅力的に輝かせるためにああだこうだ手を尽くす、ということです。
なので、あなたは原稿に愛をぎゅうぎゅうに詰め込めばいい。そしてその原稿をもってクリエイターにたっぷり説明をすればいい。そうやって伝達⇒理解された原稿は、クリエイターの手によって“読みやすくて理解しやすい情報・資料”として生まれ変わるはずです。
そして何より、「あーこのクライアント、自分の仕事めっちゃ好きなんだなぁ!」と感じたら、我々クリエイターのテンションも上がるってもんです。
未だに思い出すのですが、私が会社員だった頃、とある医療機器系のクライアントとお仕事をしたときがまさにこれでした。とにかく愛がすごい。愛と熱意。医療機器のことなんてさっぱりわからなかった私が、そのお仕事に携わっている期間だけはカタログの内容を理解して「面白い!」と思えるほどになっていましたからね。ここまで私のテンションを持ち上げてくれたクライアントは、本当にすごかったのだなと思います。
あなたの専門外の範囲は、お任せする
ウェブにしろ紙にしろ、とにかくいろいろ専門知識やセオリーがあるので、そこを「あなたに任せた!」と言ってくださるクライアントさんのお仕事ではテンションが上がります。というか、テンションを失わずに仕事をやり遂げることができます。
というのも、私たちも愛をもってこのお仕事をやっておりますので、専門知識やセオリーを最大限に活かしてモノづくりをしたいのですね。そして、それらと照らし合わせると、クライアントさんのご要望にお応えしがたいことも多々あるのです。妥協すればお応えすることができたとしても、それは妥協……
デザイン面・システム面等々、あなたの専門でない領域=クリエイターの専門領域は思い切って任せてしまうと、ええ感じに仕上がる可能性が高くなります。デザイナーやコーダーという生き物は、大抵の場合は知識や技術の向上をしたいタイプの人間ですので、お任せにしておくと勝手に“ええもん”を作りがちです。パッと見てもわからないかもしれませんが、最新の技術や技法等が取り入れられていることでしょう。
最後に
そんなこんなで、肝はあなたの“仕事への愛”だ、というのがまとめの一言です。
特に、「情報・資料・愛を出しきる」というのはめちゃくちゃ大切です。何故かというと、これらは制作物に掲載するまでの過程で整理され削ぎ落とし洗練されていくから。要は、最初にぎゅうぎゅうの質量で用意しておかないと、研磨している間にスッカスカになっちゃうの!多すぎると思うくらいからスタートするのが吉です。
さて、ここまで書いて思いましたが、いいクリエイター・いい担当者を見分けるコツって、“仕事を楽しそうにしているかどうか”かもしれません。楽しいから勉強する、楽しいから考える、試行錯誤する、チャレンジする……そんな当たり前のことが、お仕事のクオリティにはっきりと影響してくると思います。特に、我々のような業種では。
DUCK WORKSも、日々精進!楽しいことをめいっぱい楽しむ、向上する!という姿勢をもってお仕事を続けていきたいと思います。