【タロット一覧】タロットカードを似た者同士のイメージで分けてみよう

タロット占いをしていると、「このカードとこのカードは似ているな」と思うことがあります。特に初心者の頃、まだ各カードの個性をしっかりと握れていない場合なんかは、細かいニュアンスの差を掴みきれずに「このカードとこのカードは違うのに、同じような説明になる……」と迷ってしまうこともあると思います。

例えば『戦車』と『ワンド ナイト』(どっちもすごい勢いのある戦士やけど何が違うの!?)とか、『ワンド 9』と『ソード ペイジ』(どっちも『警戒』って言う意味があるらしいけどどういうこと!?)とか。

というわけで!今回はウェイト=スミス版タロットを、ももねこの実占経験から湧き出たイメージでカテゴライズし、一覧にしてみました。飽くまでも伝統的な意味がベースになっています。タロットの意味を似ている要素でくくるため、大アルカナ・小アルカナの枠は敢えて外しています。きっと「そういう読み方もアリか!」と思っていただける内容なので、タロットリーディングのヒントとしてぜひご参考ください!

タロット一覧の説明に入る前に、ちょっと前置き。

  • カードのキーワードやイメージは、基本的に「誰しもが内に秘めている要素」とします。リーディングの際は「カードが示す要素が表に出ている/表に出す必要がある」というように捉えます。
  • もしくは「その状況において、カードが示す要素が表に出ている/表に出す必要がある」というように。
  • ポジティブなカードが逆位置で出た場合や、スプレッド内のネガティブな場所に出た場合は、カードそれぞれの要素が「強すぎた or 及ばなかった」「裏目に出た」とすると解釈しやすいです。
  • 対して、ネガティブなカードが逆位置で出た場合や、スプレッド内のポジティブな場所に出た場合は、カードそれぞれの要素が「改善した」「適切な状態に戻った」「災い転じて福となった」とすると解釈しやすいです。

純粋なエネルギー: 『赤ちゃん』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう

愚者・太陽・ワンドA・ソードA・カップA・ペンタクルA

愚者
未知の可能性
太陽
純粋な、とても純粋なエネルギー
ワンド A
情熱の灯火
ソード A
知性の灯火
カップ A
感情の灯火
ペンタクル A
現実の灯火

どのカードも、純粋で無垢で歪みや淀みのない状態、未来へ向かうためのエネルギーがぎゅぎゅっと詰まっている状態です。無制限で無限のエネルギー。

このカテゴリにおいては、「未知」「純然」「ただ在る」というのがミソで、すべてにおいて真っ白まっさらだからこそ無限の可能性があると捉えます。目的も道筋もないということは、ルールも制限もないということ!損得の判断も善悪の概念すらもないのです。

これらは個の要素がとても強い上にとてもエネルギッシュなので、ともすればとんでもない常識外れにもなるし、場合によっては周囲の輪を乱す要因にもなります。

愚者

愚者は未知の存在。ゼロベース。良くも悪くも何もない。あるのはただ可能性だけ。彼の旅に目的はあるのかないのか、どこから来てどこへ行くのか、本人は「まぁそんなことはどうでもいいじゃない?」とでも言わんばかりに楽しそう。たまに「あの人、すごく面白いのだけれど普段何をしているのかわからないのよね……お勤めもしてなさそうだし……」みたいな人いるじゃないですか。あんな感じです。

太陽

このカードは「純粋・赤ちゃん」と言っても大アルカナの19番ですので、『愚者』や各スートの『A』とはちとニュアンスが違います。「ここから成長する」というニュアンスではなく、「純粋な赤ちゃんのような弾けんばかりのエネルギー」がそのままドーン!と存在するのです。そういう存在なのです。

太陽は純然たるエネルギーの塊。人間離れした、それこそ太陽のような絶対的エネルギー。そのギラギラの熱は生命を育み、時には脅かし、我々いきものたちはどうあがいても逆らえない存在。

絵には赤ちゃんと白馬がいて、ひまわりもたくさん咲いていて可愛らしい雰囲気なのですが、その気になれば地球を滅ぼす程のエネルギーを純粋無垢な赤ん坊が持っていると思うと怖いよね。そう、そういう「怖いくらいのエネルギー」といたしましょう。

ワンド A・ソード A・カップ A・ペンタクル A

これらは、それぞれが表す要素がただ“在る”という概念が大切です。『ワンド A』は情熱。『ソード A』は知性。『カップ A』は感情。『ペンタクル A』は現実ね。例えば『ソード A』であれば「知性・理性の芽生え」みたいに読んだりします。『ペンタクル A』なら「現実化にまつわる意識の芽生え」とか。

『A』のカードたちには、もくもくから出る手が描かれていますね。これは神さまの手で人間の手ではない。ということは、まだ「目に見えない・触れられない」エネルギーなのです。

私はよく『A』を鉢に蒔いた種に例えます。鉢に種を蒔いたあと、芽が出るまではその種が生きているかどうかわからないですね。でも、鉢の中では根っこが伸びて生きている。見えない・触れられないけれども生まれているエネルギー……このニュアンスを覚えておくと便利だと思います。

歩き出すエネルギー:『未来への期待はじける若者』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう

魔術師・ワンド ペイジ・ソード ペイジ・ カップ ペイジ・ペンタクル ペイジ

魔術師
何でも創る才能を持つ人
ワンド ペイジ
好奇心ベースの可能性
ソード ペイジ
知識ベースの可能性
カップ ペイジ
情緒ベースの可能性
ペンタクル ペイジ
努力ベースの可能性

これらのカードは、生まれてからある程度育って、自分の好きなこと・得意なことがわかるようになって、でもまだまだ経験は足りなくて、ポテンシャルで勝負する頃のイメージです。才能を発掘し磨きまくるタイミングですね。

魔術師

この中でも『魔術師』のポテンシャルはすごい。生まれながらにワンド・ソード・カップ・ペンタクルの要素を持っていて、何でもできる、何でも創れる。(魔術師には一般的に「創造」というキーワードが添えてあります)彼自身も自分の能力を十分知っているのでしょう、そりゃあもう堂々とした面構えです。

この時点では「今からやります!」であって「既にやっています!」ではないのがポイントだと私は思う。ほうら、今から創るよ!エネルギーもモチベーションももりもりだよ!何でもできちゃうよ、何を創る?何をやる?目の前にはこの世を創る要素のすべて、天地とのコネクションもばっちり!何でもやるよ~~!……ここにGOの合図が出たら、という期待感を大事にしたいところです。

ワンド ペイジ・ソード ペイジ・カップ ペイジ・ペンタクル ペイジ

この人たちはよく学生と表現されます。修行中の身なのですね。それぞれがスートの表す要素に特化したポテンシャル・才能を持っています。経験は足りないけれど、未熟が故のシンプルさがありそうです。

『ワンド ペイジ』はワクワクと情熱が向くまま前を眺め、『ソード ペイジ』は利発さを活かして剣の稽古に励み(きっと教えてもらった知識やセオリーを忠実に守っているのでしょうね)、『カップ ペイジ』はファンタジーな世界にどっぷりと入り込んで感性を磨き、『ペンタクル ペイジ』はコツコツコツコツ成果を確認しながら勉強を進める……

こんな風に自分の特性に没頭できるのも、若い力ならではでないでしょうか。まだ責任を負う立場でないからこそ、自分自身の特性を磨くことに集中できる。「まだ実戦では使わない力」「これから実戦で使うために磨いている力」です。

歩き出すエネルギー:『若手起業家』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
ワンド 2
目的・目標を確定する前
ワンド 3
目的・目標を確定した後

ワンド 2・ワンド 3

同じ歩き出しと言えど、『ワンド 2』『ワンド 3』は大人です。とはいえまだまだ経験よりも情熱が勝っていて、夢と希望に満ち満ちています。何せワンドだからね!メラメラ燃える情熱でございます。

ワンド 2

高台に立ち、手に持った地球儀を眺めて「さぁこれからどこへ行こう、何をしよう?」と想いを馳せているのが『ワンド 2』。眼前に広がる世界に前のめりな感じです。「これからどこへ行こう?」というタイミングで地球儀を眺めるって、すごくない?雑じゃない??雑というか、『ワンド』なので情熱のエネルギーがベースなのですね。ポッと生まれた情熱が二本足で立ったばかりのタイミング故、具体的な目的・目標・プランは未だ決まっていない。ただ、自分が持っているもので何かを成せることは本能的にわかっている様子です。

ワンド 3

ゴールを決め、行動をスタートして「最初の一歩を踏み出した!よっしゃやるぞ!」と意気込んでいるのが『ワンド 3』です。『ワンド 2』と違い、他者の存在(海の向こうに小さな船がたくさん!)も見えます。それらが他人なのか仲間なのかはここでは明らかではありませんが、それぞれがそれぞれのゴールを持って海に出ているはずです。

「志を共にする誰か」という第三者を迎えることで『ワンド 2』での情熱が具体的・安定的になり、彼の世界はどんどん広がっていくのですね。

自分の道を行くエネルギー:『ノリノリの中堅』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
女教皇
純潔と直感の乙女
戦車
犠牲をいとわず邁進する
ワンド ナイト
情熱のままに邁進する
カップ ナイト
感情を操って行動する
ソード ナイト
知識を武器に邁進する
ペンタクル ナイト
経験の蓄積を進める

女教皇・戦車・ワンド ナイト・カップ ナイト・ソード ナイト・ペンタクル ナイト

自分の能力を活かして行動し、なおかつそれなりに経験がついた頃のイメージです。具体的に例えると、仕事ができるようになってノリにノッている中堅社員って感じね……とんでもなく個性の強い、でもって優秀な人材たちなのです。

で、このカテゴリ、ポテンシャルを武器に周囲を押しがちなんですよ。あんまり人の話を聞いていない。

女教皇

『女教皇』は中堅というと失礼なくらい若い女性、もはや少女が描かれているのですが、幼少期から大人の世界で揉まれたおかげで精神的に中堅になった少女、という感じで捉えます。若いのにかなり大人びているのよね……膝に載せている書物は「この世のすべての知識」が詰まっているようで、そんなものを扱えるのだからとんでもない才女でしょう。かなり大人びた風貌にもなりましょう。

「本質的に純粋、純粋が故に残酷」みたいなイメージもあります。研ぎ澄まされた直感と知性で「これはこういうものですから」と本当のことを告げる感じ。頭のいい子どもがまったく悪意なく、誰かに対してクリティカルな言葉を突きつけること、あるでしょう?あれです。若さ故に、ノリノリが故に、尖がってるんですね。

戦車

勢いが強いカードの中でも、『戦車』は特に緊張感があります。もはや戦うことにのみその存在を捧げ、背水の陣を敷き、自らの身体を戦車と融合させ、怖い顔で前を見据える……戦いに向けたかなり激しい決意を感じるよね。とにかく「もう進むしかない!俺がやるしかない!全身全霊で戦うのみ!!」という勢いがある。ノリノリどころかフンフンと荒い鼻息が聞こえてきそうです。ただしまだ走り出していない。

動力はめちゃくちゃ扱いづらそうな馬っていうかスフィンクスです。それらをまた動力のわからない魔法の杖で制御している。すごい絵だな。これらの要素からは、セルフコントロールに大変神経を使う必要がある様子を読み取れます。ギリギリ感がすごい。彼は十分に戦えることをよく知っているから、こんなにも覚悟と勢いを胸に抱えていられるのです。

ワンド ナイト・ソード ナイト・カップ ナイト・ペンタクル ナイト

ナイトたちこそ「中堅」のイメージでございます。コートカードの表す年齢的にも20代半ば~30代半ばを当てられていることが多いです。

『ワンド ナイト』『ソード ナイト』は、それぞれの武器は違えどとんでもない勢いで攻めてくるタイプ。馬がとにかく走っている。『ワンド ナイト』の前のめりな情熱と『ソード ナイト』のハイスピード理論攻めでこちらに来られたら、思わず腰が引けてしまいそうですね。

『カップ ナイト』『ペンタクル ナイト』には勢いはないです。馬、歩かず止まってるでしょ?周りの情緒をくすぐることで進路を拓く『カップ ナイト』、飽くまでも着実に堅実に経験を貯めまくる『ペンタクル ナイト』と、それぞれに合ったやり方で邁進しています。

そして、このカテゴリにいる彼らは、それぞれの役目をしっかりとまっとうしています。若いだけじゃない、これまでに培った経験や環境への適応力があってこそ、自分に課せられた役割をその身に背負えるんですね。

自分の道を行くエネルギー:『駆け引きの末』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
ソード 5
知識を武器に、相手から奪い取る
ソード 7
知識を駆使して、相手から奪い去る

ソード 5・ソード 7

これらのカードはいずれも駆け引きの中におり、しかも既に「周囲から何かを奪った後」の場面が描かれています。上記と同じく「自分の道を行くエネルギー」に分類しますが、自分の道を押し通した結果、ちょっと嫌なヤツになっています。

ソード 5

『ソード 5』は、知識や理論・理屈を武器に周囲を屈服させるまでに叩きのめした、というシチュエーション。ドヤ顔で「論破した!」って自慢をしている感じです。自分の剣だけでは飽き足らず、負けた人たちの剣まで抱えて……

周りの人たち見てみ。「そこまでせんでも」って言わんばかりのしょんぼり具合。見ているこちらも後味が悪いよね~。我が道も貫き通し方を考えないとこうなっちゃうよ。空も荒れ模様ですし、考えさせられますね。

ソード 7

『ソード 7』は、知識や理論・理屈を駆使して相手を弱体化させる、というシチュエーションを表します。裏で根回しをして相手の立場を悪くするとか、都合のいいところだけ持ってささっと逃げちゃう、とか。

ただ、カードの雰囲気的には喜劇なのです。そこまで極悪ではない。敵方のテントから武器を盗んで抜き足差し足、「ズルいやつだなぁ!」と観客に笑われる役回り。ズルいけれども憎まれない、っていう人いるよね。

『ソード 5』も『ソード 7』も、どちらも狡猾で小悪党なイメージですね。これらのカードは実際に「ズルいなこいつ」みたいなときに出てきたりします。ただ、狡くあることも、敢えて悪役として泥をかぶることも、人生のうちではままあることです。そういう意味では労いたくなるカードたちですね……

成熟したエネルギー:『大人の女性』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
女帝
愛し愛されているからこその最強ロイヤルレディ
ワンド クイーン
明るく話しやすい、気さくなレディ
ソード クイーン
理知的で厳しいながらも優しさを隠し持つレディ
カップ クイーン
アーティスティックセンシティブ乙女レディ
ペンタクル クイーン
頼り甲斐ばっちり、縁の下の力持ちレディ

女帝・ワンド クイーン・カップ クイーン・ ソード クイーン・ ペンタクル クイーン

見事に女王様ばかりね!基本的に、女王様たちには「受容・保護する・育てる」という要素が共通して含まれています。また、女性性、母性、といったキーワードが並びます。

女帝

中でも女帝はめちゃくちゃ強い。すべてを受け容れる強さをもっている、超かっこいい女性です。愛されている&愛するものがある、という絶対的な自信と余裕があるからこその強さ!すごい余裕!羨ましい!!皇帝が外向きの力を存分に発揮して守ってくれるからこそ、この美しい庭園と豊かな富を守り育てることができるのです。

これ、「私は大丈夫、安心で安全、守られている」と強く信じていないとできないよね。不安があったり、少しでも自分の安全や自分を守ってくれている何かを疑っていたら、こんなにもゆったりと余裕を持って座っていられない。自分を取り巻く環境に対して絶大の信頼を置く覚悟、これもとても大切なニュアンスだと思います。

ワンド クイーン・ソード クイーン・カップ クイーン・ペンタクル クイーン

『ワンド クイーン』は好奇心旺盛、お茶目でおしゃべり好きのお母さん。キングとのデートも少女のように楽しむ感じのキュートな女性のイメージです。世話焼きであけすけで、「アメちゃんあるで~」と笑顔で話しかけてくれそうな気さくさを感じます。

『ソード クイーン』は、理性という距離感を知っているが故の独立心と厳粛さがあります。(未亡人とも言われているね)基本的には厳しいのだけれど、「まずはあなたの考えを聞きましょう」と手を差し伸べてくれる余裕がある。

『カップ クイーン』は乙女チックママ。優しくて手芸が得意で、おしゃれで、娘の恋愛話をまるで仲のいい友人のような態度で聞くような雰囲気です。「うんうん、そうなんだ~」と頷き、相手のコンディションやテンションに合わせてコミュニケーションを取る柔軟さがウリ。

『ペンタクル クイーン』はしっかりと家計を支えどっしりと家庭を守る良妻賢母ね。専業主婦として家の中を守ってくれるタイプの人です。いいか、ときどき旅行ができるのは、たまの外食でええもんが食べられるのは、『ペンタクル クイーン』のおかげですよ。彼女の堅実な守備力に感謝しましょう。

このカテゴリーの皆さんは、逆位置になったりネガティブな意味で出たりすると、それぞれの特性と併せてヒステリックな要素が出がちです。『女帝』は「どうして守ってくれないの!他に私よりも大切なものがあるの!?」と嫉妬に狂うし、『ワンド クイーン』は荒っぽく横暴になるし、『ソード クイーン』は冷酷すぎるし『カップ クイーン』は感情的に泣き喚くし『ペンタクル クイーン』は急に安定感を失くして土台を狂わせてしまうし……皆さん、ひとまず落ち着いてください!

成熟したエネルギー: 『大人の男性』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
皇帝
護るものがあるから戦う、尊厳の王
法皇
法と統制で民を守る、公正の王
ワンド キング
明るく楽しく、冒険心を忘れないジェントル
ソード キング
揺るがぬ理性で厳正な判断を下すジェントル
カップ キング
アーティスティックセンシティブ乙女ジェントル
ペンタクル キング
頼り甲斐ばっちり、マネーの鬼ジェントル

皇帝・法皇・ワンド キング・カップ キング・ ソード キング・ ペンタクル キング

こちらは王様ばかりです。王様たちには「攻める・守護する・導く・築く」という要素が共通して含まれています。 また、男性性、父性、権力といったキーワードが並びます。

皇帝

『皇帝』は攻めの人!攻めることで護る、といった感じ。背中に多くの民を背負っているだけあって威厳がすごいです。責任感もすごい。支配的な雰囲気もあれど「俺についてこい!」というタイプなので、人によっては抵抗感もあるでしょうがぜひ頼りにしたい存在です。

攻めると言えど、奔放なタイプではありません。ガッチガチに鎧を着こんでいるので自ら軍を率いることもありましょうが、基本的にはドンと本丸に構えているボスかと思います。「4」という数字は安定を表しますから、動くことで混乱をもたらしたり、自ら狩りに出て足下を揺るがせるわけにはいかないのです。

しかしまぁ、この眉間の皺を見てくれよ。権力と責任を一身に負う覚悟をもった男の顔……シブいだろ。

法皇

『法皇』は攻めない。鎧も武器も着けていない。代わりに、法や伝統で民を統制します。法や伝統というのは個人の権威ではなく偶像的な権威なので、『法皇』自身もそれらに則ってさえいれば、安定した立場を守れるのかもしれません。

ただし「私こそが法律だ!」と好き勝手にルールを変えたりするとよろしくないですね。逆位置だとそんな風にルールを笠に着て傲慢になっているかもよ、とも読めたりします。

ワンド キング・ソード キング・カップ キング・ペンタクル キング

これらの王様たちは、各スートの女王様たちと似た性質で役割が違う、という風に捉えると読みやすいと思います。もはや古い価値観ではありますが、敢えてキングを『旦那的・父親的』な役割、クイーンを『妻的・母親的』な役割で想像してみるとわかりやすい。

例えば『ソード』だと、クイーンは「理知・理性」をもった母親的役割で、冷静に状況を受け止め整理する。一方、キングは父親的役割で判断し決断を下す。お母さんに相談したことがお父さんに伝わってバチン!と判断が下る、って感じでしょうかね。『ペンタクル』は、キングが会社の社長でクイーンが経理のボス。ご家庭であれば大黒柱と財務大臣。そんなイメージで読むと読みやすいです。

逆位置やネガティブな意味で出た場合は、各特性に強引さがプラスされがちね。王様という権威がある立場故に押し切ろうとすれば押し切れるので、ぐいぐいと押し切ろうとするんですね。落ち着くまでそっとしておきましょう……

成熟したエネルギー: 『価値観そのもの』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
正義
絶対的価値観に基づく裁判官

正義

『正義』は成熟したエネルギーの中でも、ちょっと色が違います。王様でも女王様でも旦那でも妻でも父でも母でもない。

というのもですね、神さまなのですよ。子どもだとか大人だというよりも、もはや神の域。(大アルカナは11番『正義』以降、神の領域に入ります。10番『運命の輪』が切り替え点)

このひとこそ「私こそが法律、私こそが絶対的ルール」です。法皇は「法の下に皇をやっている」のであって、法は大前提として民のためにあって、要は情状酌量の余地があるわけです。『正義』にはそれがない。絶対的な正義の下に、無情な判決がくだる。『正義』の女神さまの足元では、個々人の情緒や何やは無力なのだ……

なのでネガティブ要素として出るとめちゃくちゃ怖い。「私が黒と言えば白も黒になるのだ」とばかりに反論の余地も挟めないほどの決定を押しつけてくる。強い。

静けさに宿るエネルギー:『プロフェッショナル』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
隠者
俗世から離れ、真理を探究する哲学者
ワンド 9
豊富な経験が動かす防衛本能
ペンタクル 8
仕事とものづくりに心血を注ぐ、一流の職人

隠者・ワンド 9・ペンタクル 9

大勢の先頭で旗を掲げて導くタイプではなく、粛々と自身の仕事に没頭する姿が後続の人たちの見本になるタイプ。孤独や孤立の色が強いです。

隠者

『隠者』は険しい山をひとりで粛々と登ってきた結果、もはや仙人の域に達しています。この人が追求しているのは哲学的なことで、人間の生活に直接的・物理的な恩恵を与えるようなものではなく、それが故に外界と遮断されているのです。

孤独の中で深く深く真理探究の淵に入り込み、既知の世界と未だ誰も見たことのない世界をその智慧で繋ぐ……そんな人なので周りになかなか理解されず、偏屈な人だと思われることもしばしば。説明しようとするとこちらの文章すら偏屈になる。そういうカードです。

『隠者』が持つカンテラは、後続の人々の目印になるとも言われています。直接指導したり教えたりすることはないけれど、この人の存在自体が後ろからやてくる人々の先生になるのですね。背中を見て学べ!

ワンド 9

『ワンド 9』はプロの守り人です。「ここを守らなきゃいけない」という強いパッションを持ち、今までの経験から導き出される“プロの勘”で城壁の守りをしています。思考や理論ではなく勘を頼りに警戒していて、その勘の精度はすごい。「えっ、そのトラブルの種、どうやって見つけたん!?」っていう人、たまにいるでしょ。ああいう感じ。

ただ、常に緊張しているのでストレスがすごそうですね。鳥の影にさえ警戒して頭を手で覆いそうな雰囲気です。『ワンド』であるが故、本能的な勘頼りなのです。理性で整理されていないから、敏感なアンテナが危険なサインを全部拾い上げてしまう……ネガティブに出ると、自分自身の勘に振り回されてしまうことも。

ペンタクル 8

『ペンタクル 8』はモノづくりのプロ!『隠者』と違って普通の生活を営む人なので、外界とも接点があります。足元には街も見えるね。

彼はベテランの技と磨き上げたセンスを持っていて、いい意味で孤立しています。このカードに描かれたペンタクルをよく見てみると、ひとつひとつの形が微妙に違う。納品に値するものを作りつつ、更によいものが作れないか、自分の個性や味を価値にまで昇華しようと試行錯誤している。机上の空論ではなく、確かな技で現実世界に作品を産み落としていく。さらなるベストはどこか……納得がいくまでただただ作り続ける、職人の鑑のようなイメージです。

制限に宿るエネルギー:『自ら枷を負う』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
吊られた男
自己犠牲で民を救う英雄
悪魔
誘惑に溺れるも抜けるも自分次第
不安と被害妄想

吊られた男・悪魔・月

これらのカードは動かない。現状維持というか、現状にこそ課題があってそこから動けない、というときに出てきます。基本的にごりごり動いていたい人は、これらが出ると「あぁ……」ってなるかもしれませんね。

吊られた男

『吊られた男』は見たままめっちゃしんどい状況です。どうやら、奉仕の精神でそこに吊られているとのこと。タロット78枚中で最も動かない・次の展開までに随分時間がかかるカードではないかしら。

カード自体のイメージとしては、例えば会社勤めをしていて、管理職で、メンバーを守りつつ「自分のチーム」の業績を積み上げている状況などにこのカードがぴったりです。功績は「チーム全員の成果」、失態は「俺の責任」。部下のやらかしたミスには自分が頭を下げに行って、部下が成果を上げたら褒めてごはんでも奢って……あぁ、いい上司ってまるで聖人ですね。そんな、自分はプレイヤーとしては動かないけれど組織に貢献・奉仕している、耐え忍びセルフコントロールしまくる感じのカードです。

そして忘れちゃいけない、このカードは『悟り』のカード。聖人のような上司は、ある意味悟りに近いものを持っているのかもしれません。

悪魔

『悪魔』は、自分で抜けようと思えば抜けられる制限を示します。誘惑やら甘えやら惰性……ってやつですね。甘い誘いや居心地のいいだけの場所に留まるのか脱するのかは自分次第だよー!ついつい、「わかっちゃいるけどやめられないんですよ」って言いたくなるカードです。

ほら、描かれた男女の首にはまった輪っかを見てみ。自分で外せそうなサイズやろ。ゆるゆるやろ。身体が人間じゃないものに変化していっているのは自覚しているのに、それでも首輪を外さないのは、「そこが心地よいから」なのだよ。「動こうと思えば動けるのに、惰性で動かない」、です。

『月』のキーワードは「不安」。移ろいゆくものに漠然とした不安を覚えたり、怖いもの・強いものに対して恐怖を感じたり……そういうことは多々あると思います。その感情が元となってよからぬ妄想が繰り広げられ、飲み込まれてしまうと前に進めなくなりますね。不安を押し込め、えいっ!と飛び出す勇気を持てるまでは自分の動きを制限してしまう、そんな状態を示します。

月って、夜空で一番でかい星なのに、ころころ位置が変わるわ大きさも色も形も変わるわ、あまつさえまったく見えなくなるときもあるわでめちゃくちゃ不安定なんですよね。カード下部に描かれたザリガニくんも、「今は満月で怖いもの(犬と狼)の気を引いてくれているけれど、いつそれが終わるかわからない!怖い!動けないよう!」ってなっているのです。頑張れザリガニくん。足下は黄金色の道、きちんと祝福されているよザリガニくん。

制限に宿るエネルギー:『自らを制限する』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
ワンド 10
キャパオーバー
ソード 8
ぐるぐる考えすぎ
カップ 5
失くしたものが忘れられない
カップ 6
思い出に浸る
ペンタクル 4
がっちがちの執着
ペンタクル 5
苦境への執着

ワンド 10・ソード 8・カップ 5・カップ 6・ペンタクル 4・ペンタクル 5

これらのカードは、それぞれ何かしらに囚われていて、結果的に自らに制限をかけているカードたちです。共通して言えることは、「視野狭窄」です。

ワンド 10

『ワンド 10』は過剰な情熱に囚われて、キャパオーバーな状態。何としてでもやりきらなきゃ!という情熱に支配されている。両腕に抱える荷物がたくさんありすぎて、もはや前が見えていません。『ワンド』故、やる気と情熱だけで頑張りすぎちゃっているのですね……ゴリ押しでいける範囲を超えてしまっています。その荷物、本当に全部いる?一気に運ぶ必要ある?誰かに手伝ってもらうのはどう??と問いかけるきっかけとして出てきたりもするよ。

ソード 8

『ソード 8』は思考に囚われてにっちもさっちもいかなくなっている状態を示します。考えすぎるとそのことしか見えなくなって、アイディアも出にくくなってしまいますね。ぎゅーーっと煮詰まって思い込みが強くなっている状態なので、一旦考えるのをやめて他のことをするとか、誰かの意見を聞いて刺激を受けるなどすると一歩踏み出せる状態、と読めます。(描かれた大切なヒント、足下の水=感情・感性を辿っていくこと!)

カップ 5

『カップ 5』は喪失感という感情に囚われています。覆水盆に返らず、零れた水(ワイン)そのものはもう失ってしまったけれど、かつて感じた想いや感情から何かを拾い上げることができれば、少しは報われるのかもしれません。失くしたものばっかり見ている彼も、後ろにまだ素敵なものが残っているよ……って、何らかのきっかけで気づけるといいのだけれど。

カップ 6

『カップ 6』は素敵な記憶・美しい思い出に囚われています。美しく幸福感に満ちた記憶をたどり、「あの頃は良かったなぁ……」と思いを馳せている状態。思い出から元気をもらうのはいいのですが、ときどき「あの頃はよかった」という感傷から出てこられないこともあります。現実逃避とも言える。

場合によっては、思い出を美化しすぎて本当にそこから抜けられなくなっていたり、未来への期待よりも美化した過去に浸る心地よさの方が大きくなっていたりもします。過去を直視する勇気を失っていることも。

ペンタクル 4

『ペンタクル 4』は手元にあるもの(お金やら物品やら成果やら)に囚われています。どんな物質も、その場から動かさずにいれば年月に従ってどんどん傷み、価値も目減りしていくのですが……描かれた人物はそのことに気づいていないのですね。何が何でも持っているものを守るぞ!という強い意志を感じる。気ぃつけなはれや、そのうち劣化して裾からほつれてきますえ。

ペンタクル 5

『ペンタクル 5』はもうボロボロ。怪我してるわ服もみすぼらしいわ雪も降っているわで、こちらとしてはなるべく早くどこかに助けを求めてほしいのですが、なかなかそれをしません。そう、目の前の現実に囚われているのです。

彼ら自身が「このままでいい」と言わんばかりに下を向いて歩いている。外界を拒んでいる。「今がどん底、どん底をキープすればこれ以上は落ちないから安心」と“どん底”に依存しているとも言えます。もしくは「この人とふたりだから大丈夫、一緒にいるから耐えられる」とかね。ある意味でソウルメイトですね。

制限に宿るエネルギー:『今は動くときじゃない』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
ソード 3
傷を受けたばかり、涙の日々
ソード 4
考えたり話したりは一旦お休み
ソード 6
安心できる場所へと静かに運んでもらう
ソード 9
ひどく傷ついた自分を落ち着かせる
ソード 10
落ちるところまで落っこちた

ソード 3・ソード 4・ソード 6・ソード 9・ソード 10

先ほどの「自分を制限している」カードたちのように自分で課した制限があるわけではないのだけれど、今は時期じゃないよ、状態が悪いよ、動けないよ!という感じ。ソードだらけですね。

ソード 3

『ソード 3』は他者との間に起きる考え方の摩擦や言葉の応酬により「心が傷ついて荒れている」状態です。軽やかに動けない様子。なので、まずは傷ついて弱っていることを認めましょう。そう認めたらスピードダウンせざるを得ないよねー。大丈夫、こう見えて治る傷だから。心臓に剣がぶっ刺さってるけど、すぐに動けるようになります。

ソード 4

『ソード 4』はね、今まで頭を使ってきて疲れているので、一旦休んでリフレッシュしようね!という感じ。頭を回転させ続けているとどうしても擦り切れて疲れてくるので、昼寝したりして頭を休ませるタイミングだよと教えてくれます。生み出した考えたちも、寝かせることで安定したり落ち着いたりするよね。

ソード 6

『ソード 6』は動いているのですが、動力が自分ではない。今は自分で動くときじゃない。船に乗ったマントの人たちはじっと座っており、船頭さんに進路もスピードも任せていますね。このカードが出たときは、能動的に考えたり発言するのではなく、周囲の誰かの考えや流れに乗っかって運んでいってもらうのだ。素敵なところに運んでもらえるといいですねえ。

ソード 9

『ソード 9』と『ソード 10』は見るからに「うっ!」となりますね!すごいズタボロ!

『ソード 9』はあまりの傷の深さに、夢でまで苦しみに襲われている状態です。それが夢であること、既に去ったことだと理解するまでの苦しい時間……考えて考えて考えて、永遠にこの苦しみから解放されないのかもしれない、なんて、辛すぎるよね。考えるところまで考えたのでもはやループしてしまう、もうはちきれそう、限界!という様子です。ここまで来たら、れ以上考えなくていいんだよ。「9」ですからね、納得がいかずともそこで完成といたしましょう。

ソード10

『ソード 10』はもうここまできたら本当にどうしようもない、っていうか動けなくなるまで考えすぎた、言葉を浴びすぎた/発しすぎた。やりすぎ状態、なれの果てです。あとは夜明けを待つのみ……

これはソードのスート全体に共通して言えることですが、思考や言葉で傷ついていることを示します。相手に言われたことだけでなく、自分が発した言葉も自分を傷つける要因となるのですね。

描かれた人物は明らかに死んでいますが、死んだらあとは生まれ変わるしかないのですね。ほら、向こうの空が明るくなってきているでしょう。 ここまで来たら本当に動かないでほしい。

制限に宿るエネルギー:『動く前のブレイクポイント』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
カップ 4
手に取る前にときめくかどうか確かめる
カップ 7
選択肢いっぱい!どれを選ぶ?

カップ 4・カップ 7

焦らな~い、焦らな~い。いずれのカードも、本当の自分の気持ちはどうなのか?を確認するタイミングを示します。

カップ 4

『カップ 4』は「ときめきを待つ」というニュアンスを持ちます。目の前に出されたものにときめきを感じるか?感情が動くか?と確かめている状態。描かれている人物はまだときめくものに出会えていないので動きません。妥協して受け取るよりはときめき待ちをした方がよさそうですね。ここでしっかり吟味すれば、これだ!と感じたときに素早く動き出せるはず。

カップ 7

『カップ 7』は、「グッとくるものを選ぶ」というニュアンスを持ちます。『カップ 4』よりもたくさんの、それでいて具体的な選択肢を提示されておりますね。ときめきがたくさんあって、その中からどれを選ぼう!だなんて贅沢なやつめ。……とはいえここは雲の上。選択肢は妄想の範囲であり、何とも夢見がちなものが並んでいます。そこからきちんと現実化していくかどうかはまた別のお話!動き出す前の準備として、妄想を膨らませ選択肢を潤しておきましょう。

自律に宿るエネルギー:『卓越したバランス』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
陰陽のバランス
節制
神業的なバランス
ワンド 7
ギリギリのバランス
ソード 2
バランスを保つための距離感
ペンタクル 2
要領がよくて器用
ペンタクル 6
公平な分配

力・節制・ワンド 7・ソード 2・ペンタクル 2・ペンタクル 6

自分を安定させ他者との関係も安定させる、一歩引いた感覚を持ち合わせているカードたちが多いです。慌てているように見えるカードも、絶妙なバランスの上に成り立っています。

『力』は、男性性/女性性、理性/本能、優しさ/攻撃性……みたいに、相反するもの、反対の性質を持つ二者間のバランスをとることを表しています。「あの人、びっくりするくらいパワフルだけど、物腰が柔らかくていい感じよね」みたいな、「すごく素直で単純なところがあるけれど、案外暴走しないよね~」みたいな。「柔をもって剛を制す」という言葉がありますが、まさにそのようなバランス感です。

節制

『節制』はバランスの最たるもので、神業的な感覚をもって安定した流れを作り出す様子を示します。飽くまでも自分の芯がどっしりと安定していて、それが故に周囲の細部に至るまですべてのバランスが取れている、という感じ。他の人から見たら奇跡的なバランス感覚に見えても、本人にとってはそれが通常運行であることも。如何せん、描かれているのは人間でなく天使ですので!奇跡的な魔法的なバランスを持ち得ているのです。

また、このカードは「魂・精神・肉体」のバランスも示します。要は健康です。三者すべてのバランスが大事だよ!

ワンド 7

『ワンド 7』『ソード 2』『ペンタクル 2』『ペンタクル 6』はそれぞれの領域に特化したバランス感覚のお話です。

『ワンド 7』は、突然現れた棒(雑事や細かい課題)にせっつかれて「あわあわあわ!」となっている状態ですね。それらをどうにかいなしつつ、混乱に飲み込まれないようにパッションと勘でバランスを保っているわけです。要は、今までに得た手癖と勘で何とかする力とバランス感覚がある、ということです。

ソード 2

『ソード 2』は思考と言語表現をもって感情と理性のバランスを保っている状態です。理性を武器に周囲と自分との間に線を引き、ある程度の距離を保つことで、バランスを維持するイメージね。これにはちょっとした警戒心を感じます。「私はここで様子を見させていただきますね」的な距離感。背後には凪いだ海があるので、心を乱さないようにしているのでしょう。

ペンタクル 2

『ペンタクル 2』は目の前にある事象を要領よく器用に処理して、うまく回している状態です。いますよね、さらっと日常をこなすスマートな人。しかも結構軽いノリというか楽しそうな様子で、余裕すら感じます。自分のキャパと実力を知っているからこそのバランス感覚です。『ソード 2』と違って背後の海が荒れていますが、感情の波は現実世界には見せず、影響させずにいるのかもしれません。

ペンタクル 6

『ペンタクル 6』はね、次の項目(他者との関係に宿るエネルギー)に入れようかどうか悩みました。が、「卓越したバランス感覚に基づく他者との関係」というイメージが強いのでこちらにしました。

中央に描かれた人物は自分の財産を貧しい人々に分けているのですが、それぞれの人たちに必要な分だけをきちんと見極め、不公平にならないように分配しているんですよ。でもって自分の生活レベルに影響を及ぼさない範囲にしている。このバランス感覚ってなかなか身に着くものではないし、与えすぎて一緒に苦しんだり与えることができなかったりすることの方が多いのではないかしら。そういう意味で、すんんんごい卓越したバランス感覚があるのです。

他者との関係に宿るエネルギー:『他者との関わり』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
恋人
結びつきの選択
ワンド 4
喜びごとを分かち合う
ワンド 5
競う相手がいるから成長できる
カップ 2
繋がるための約束
カップ 3
共感しあえる友だち
ペンタクル 3
仕事仲間、チームでの仕事

恋人・ワンド 4・ワンド 5・カップ 2・カップ 3・ペンタクル 3

他者の存在が大前提!ひとりでは成せないことは生きる上で山ほどあります。ひとりからふたりに、二人から三人に、そこから「みんな」になっていく大切な要素です。

恋人

『恋人』は「正しい選択」という意味が根底にあります。人間はどうしても群れで生きるものなので、誰かと何かを成すために「この人でいいの?このやり方でいいの?この考えでいいの……?」と問いを繰り返し選択し続けます。で、悩む。

そんな選択の中でも、『恋人』のカードが出るときは重大な選択を示すことが多いです。結婚とかまさにそれよね。これから先、共に人生を、家族という船を漕いで進んでいこう、そのためのパートナーを選ぶイベント。もちろん結婚に限らず、転職や転居やその他諸々、さまざまな範囲での「選択」がこのカードには示されます。

ワンド 4

『ワンド 4』は平和でハッピーな集まりです。パーティーの絵ですね。同じ情熱をもって先へ進もうとするふたりと、近しいところからふたりを祝う人たちとが集まる様子が描かれています。恋愛や結婚などの成就に限らず、打ち上げや祝勝会、お疲れさま会みたいな「同じパッションの下に集った人たち」のおめでたい節目を想像してください。ゲートの向こうから「こっちへおいでよ」と手を振っている様子からも読めるように、人間関係、集まりがあってこその喜びがあるのです。

ワンド 5

『ワンド 5』は健全な争いを示します。戦いというにはあまりにも普段着でしょ、この人たち。少年たちにも見えますね。このカードが表すのは、切磋琢磨するための練習試合や内輪での小競り合いみたいな要素です。ある程度人数が揃ってこそ芽生える向上心や競争心!例えるならば新入社員たちのディスカッションって感じですかね。

カップ 2

『カップ 』2は「付き合ってください!」「はい喜んで♪」みたいな、関係性を強化するための約束や契約を表します。異質なもの同士が通じ合い、手を繋ぐイメージ。物質的な利害を担保するための約束というよりは「私たち、繋がっていますね」という絆みたいなものを確認し強化するための約束です。

カップ 3

『カップ 3』は楽しく飲んで騒げる気の置けない仲間たちが描かれています。「聞いてよぉ、こういうことがあってさぁ~~」「わかるぅ~~!」みたいな共感をベースに存在する集まりで、ワイワイと感情を触れ合わせています。1対1の密な関係性ではなく、複数人で軽いノリを楽しむ感じ。3人寄れば意見にもバリエーションが出ます。

変容に宿るエネルギー:『転機とチャンス』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
運命の輪
巡り巡る流れ
避けられぬ死、そこからの再誕
崩壊と再生
希望とひらめき
ワンド 8
とにかくめっちゃ速い
カップ 8
時には諦めも肝心

運命の輪・死・塔・星・ワンド 8・カップ 8

今までとこれからで流れがガラリと変わったり、価値観が崩壊したり生まれ変わったり……と大ごとを表すことが多いカードたちでございます。こいつぁ気合いが入りますね!

運命の輪

『運命の輪』は、シンプルに運気の切り替わりです。敢えて正逆の話をしますが、正位置で出たら「タイミングが来た!」逆位置で出たら「まだだ! or 逃した!」という感じ。皆さま、最近調子いいわ~という時期と最近ツイてないという時期を繰り返しながら生きているかと思われますが、まさにその時期の切り替え点です。良し悪しはあまり考えず、ドシンプルに「スイッチの切り替わり」として読んだ方が読みやすいかもしれません。

『死』と『塔』は怖い絵ですね。どちらも終焉からのリスタートです。似ているけれどもちょっと違う。

『死』は魂がまっしろな状態に戻されて生まれ変わるイメージ。肉体でなく、魂の領域です。物理的な変化ではなく、価値観の変化。

今までの常識が常識じゃなくなるような、何らかのきっかけで「価値観がきれいさっぱり変化」して、今までの居場所にはもういられなくなるようなこともあります。しかも『死』は老若男女に平等に訪れるので、成熟してようがしていまいが突然もたらされたりまします。昨日までこう思っていたけれど、今日は全然違う!となるようなきっかけが訪れるかも、です。

『塔』は物理的な変化を示します。一旦全部ブチ壊されて、そこから新たに造り始めるイメージ。ブチ壊されるということは一旦何かしらの形でできあがっているもの……例えば生活の場や慣習のようなものなどを示します。完膚なきまでにブチ壊されたとしても、今までの諸々を活かしてもっとすごいものを造れるかもね。進化のための破壊が神からもたらされたのだ……

『星』は、きらりと光る希望の星を見つけた!成功へ導くアイディアがひらめいた!みたいなカードです。希望の発生は転換のエネルギーをゴリッと動かす鍵になります。そんな希望をはらんだアイディアの到来は、物理的な転機にもなります。描かれた人物がすっぱだかなのも大切な要素で、この希望にはすっぱだか=純粋・純潔が求められることも覚えておくとよし。

ワンド 8

『ワンド 8』は「今だ!行け!とにかく速くだ!!」というカードです。速くてものすごい勢いがある。勢いと言えば戦車も思いつきますが、ワンド 8はただただ純粋に速さだけを示します。とにかく速いぞ。ていうか何やねんこの棒。何で飛んでるねん。不思議だけれども、とにかく速くてとにかく飛んでいる。この謎のエネルギーはそんなに長く続きませんので、来た!と思ったらすぐに掴んでください。

ワンド 8

『カップ 8』は今まで積み上げてきたものを完成させる or 全部捨てるというカードです。積みあがったカップの、ひとつ足りなく見えるものを探しに行くのか、それとも全部捨ててまた新しく積み上げるのか。まさに転機!どうする?どっちにする?人物の頭上では月が「どないしはるん」と問いかけております。

『カップ』なので、感情や愛情の分野でのお話になりますね。人物は既に歩き始めているので、現状維持という選択肢はなさそうです。

評価に宿るエネルギー:『やってきたこと』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
審判
抗えぬ評価
ペンタクル 7
振り返りとフィードバック

審判・ペンタクル 7

いずれのカードも、それまでの行いや成果に対して然るべき評価を下される/下すタイミングを示します。しかしながら全体的にゴール感がすごい。

審判

『審判』は自己評価ではなく外部からの評価です。「あなたの行いはこうでした。そのためこのような処遇を与えます。」みたいな感じ。納得のいく評価になるかどうかは天任せです。このカードが出た時点では既にあなたは(占いの対象者は)棺桶の中の死体なので、どうこう足掻くのも無駄でございます。今までの行いを信じて、処遇を受け入れましょうね。

また、このカードがネガティブな要素として出ると、納得のいかない評価を下されたりそもそも評価の対象とならなかったりと、モヤッとする内容になりがちです。

ペンタクル 7

『ペンタクル 7』は自己評価です。振り返りとフィードバック、「今回の成果はこんな感じだな~次はどうしようかな~」みたいな感じ。育った作物の出来はどうなのか、何故そのような出来になったのか?どれだけ自分のものにしてどれだけ売ってどれだけ次の種に回すのか……

自分で評価をするので納得がいかないことはないと思いますが、結果的に正当な評価を下せなかったということはあるかも。冷静に評価するんやで。

達成に宿るエネルギー:『完成』

【タロット一覧】イメージでカードの意味を知ろう
ワンド 6
成功・完遂のお祝い
カップ 9
個人の満足
カップ 10
愛の完成
ペンタクル 9
個人の成功
ペンタクル 10
富の完成
世界
完結

ワンド 6・カップ 9・カップ 10・ペンタクル 9・ペンタクル 10・世界

ワンド 6

『ワンド 6』はお祭りです。偉業を成し遂げた人物が主役として君臨し、周りの人たちは彼の功績を称えてお祭を盛り上げています。もしもこのカードが自分のことを示す要素として出たなら遠慮なく喜んでください。ピンとこなくても、とにかく何でもいいのでやり遂げたことを探してお祝いしましょう。「できた!」と認識してごほうびをもらう、そういうタイミングなのです。もちろん周りで支えてくれている人たちへの感謝も忘れてはいかんよ。

このカード、他者との関係に宿るエネルギー:『他者との関わり』に入れようか悩みました。何故ならこのカードが示す達成は周りの人たちの協力があってこそだから。周囲の人たちのおかげで成果が出て、自信が持てたのです。リーディングによっては、中央の人物でなく支える側が象徴的に出てくる場合もあります。

カップ 9

『カップ 9』と『ペンタクル 9』は個人レベルでの満足と成功を表します。

『カップ 9』はとにかく大満足!お腹いっぱい、酒もうまい!背後に自分が得てきた満足・感動を並べております。ふくふくの笑顔が眩しいですね。自分ひとりで得られる感情的・情緒的な満足をこれでもかと味わっている状態です。ここ!大事!「自分ひとりで得られる」感情的・情緒的な満足です。このニュアンス、後述の『カップ 10』とセットで使うのがおすすめですよ。

ペンタクル 9

『ペンタクル 9』はとても優雅な生活をしている女性が描かれています。彼女の様子を見るに、財産をたくさんもっていることが伺えます。お金持ちです。(お金持ちのパトロンがいる、と言われています)ペットの鳥にもおしゃれをさせて、人生を余裕で過ごしていますね。こちらは『カップ 9』と似た感じで、「自分ひとりで得られる物質的・実質的な満足」を味わっている状態です。「自分一人で得られる」!大事ですよ。

カップ 10

『カップ 10』と『ペンタクル 10』は、『9』にそれぞれ「他者」を加えた状態です。

『カップ 10』は愛と絆の成就。『カップ 9』に比べて財産はなさそうな雰囲気ですが、その代わり仲睦まじく幸福な家庭がそこにあります。真に成熟した感情的・情緒的な満足は、他者と関わることで新たな種(子どもに象徴される、絆の成果)を生み出すのだよ。これが『カップ 9』との違いです。

『カップ 9』で人間としての情緒が満ち、感情の課題をひととおり達成しました。達成したもの同士でこそ『10』となり、絆の成就を得られるのです。深い!

ペンタクル 10

『ペンタクル 10』は富と系譜の成就。物質的な財産だけでなく一族の繁栄という大きな富が加わります。築き上げたものが一代で終わるのではなく、跡継ぎができて続いていく……という話ですね。会社で言えば、社長だけが豊かになるのではなく、周りも一緒にキャリアアップしたりさらにメンバーを増やして大きくなって行ったりする感じ。

『ペンタクル 9』で人間としての物質的満足を得、現実化・具現化の課題をひととおり達成しました。達成したからこそ跡継ぎをつくり、後進を育てることができるのです。深い!!

世界

さて、『世界』。このカードは今までに述べてきたすべてを包括するものです。酸いも甘いも咀嚼して飲み込んで消化して、ひとつになって、すっきり!これが「私」です!!と言わんばかりの清々しい絵ですね。まこと堂々としております。

『世界』が出たら、とにもかくにも一旦そこで「完結」します。不満や未練は通用しません。何がどう完結したのか、それを踏まえて次のステップはどうなるのか、をじっくりと検証することをおすすめします。

最後に

タロットカードの意味って、まるっと覚えようと思うと結構大変です。これは別にタロットに限ったことではありませんが、私はいつも「覚える」というより「知るを重ねる」という意識で取り組んでいます。

私、「人間の脳ミソはみな賢いので一旦インプットしたものは忘れない」と信じておりまして、そう考えるとインプットされたそれらを引き出すきっかけを多く持った方がいい、と思えるのです。「知るを重ねる」=知識を引き出すきっかけを増やすこと、なのですな。

また、整理された情報は理解しやすく記憶にも残りやすいです。加えて、「理解しやすく記憶にも残りやすい情報整理の形式」は人それぞれ違います。

なので、私のタロットにおける情報整理の形式が皆さんの「知るを重ねる」の一助になればいいなと思いまして、今回の記事をしたためました。少しでも「なるほど~~~!」と思っていただければ是幸い!

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……とはいえこの本、初心者さんにはちょっと難しい。ウェイトやパメラがカードに込めた意図や、これらが出来上がった背景を知りたい方におすすめです。分厚いしややこしいけれど、これを一冊読むと、タロットの読み方、変わるかもよ。

手前味噌ですが、こちらの記事も参考になるかもしれない。

「難しい!」と感じられがちなネガティブな意味のカードを読むヒントを、具体的な例を挙げながらご紹介している記事です。こちらもぜひどうぞ。

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