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あなたについて語りましょう – 小アルカナ ソード クイーン

『ソード クイーン』は、「知性・思考・言語」を象徴するソードのスートに属し、また、タロットにおける女性の性質「(陰陽の)陰・受動・守る、育てる」といった要素を持ちます。ソードの表す「風」は彼女の前では凪いでいるようで、髪や衣服はなびいていません。堂々と静かに椅子に腰掛け、剣を掲げつつ左手を差し出しています。まるで、「あなたの話を聞きましょう」と言っているようです。

タロット 小アルカナ ソード クイーン

占い師という立場で椅子に座るとき、私は『ソード クイーン』を想い起こします。「まずはあなたの話を聞きましょう、話し、考え、そしてまた話しましょう」という姿勢が、占いをお客さまに提供するときの流れを支えるように思うのです。特に私の占いは、お客さまの持たれるエピソードの一端から時間いっぱいに物語を組み立てていくような形なので、タロットのスートで例えるならばソードの要素が強いと言えます。他にも、とにかく元気づけてくれる占い師さんならワンド、たっぷり共感してくれる占い師さんならカップ、しっかり現実的なアドバイスをくれる占い師さんならペンタクルの要素が強いと言えそうです。

クイーンであることも占い師としては大切なように思います。飽くまでも「お客さまの物語」を展開していくのですから、キングのように「自分の物語」がメインでは具合が悪いはずです。どれだけの深度でお客さまの話を伺うかは占い師それぞれの姿勢ややり方に大きく左右されるものの、仮にまったくお客さまの話を聞かなかったとしても、占いである以上、語る内容は「お客さまの物語」。極端に言えば、話を聞く・聞かないに関わらず占い師が延々と自分自身の話をしてしまうと、占いとしては成り立たないでしょう。

『ソード クイーン』は剣を片手に携え、それを眼前に掲げています。実際にこうされるとものすごく威圧感がありそうですが、これは「相手との境界線」を示しているとも解釈できそうです。「ソード=理性」を相手との間に立て、自身と相手とを切り分ける。相手の話を聞いて飲み込む前に、ソードの力で整理する。不要な部分や優先順位の低いものをいったん削ぎ落とし、見通しをよくする。相手との距離を保ち、冷静に情報を捉えて「語り」として再構築する。

そういった像が、私が占い師として活動する中でとても役に立っています。世の中にはいろいろな占い師さんがいるので、「コートカードで例えるならば、あなたはどんな占い師さんですか?」というテーマで話を聞いてみたいような気もします。占い師に限らず、また『ソード クイーン』に限らず、コートカードは自分のスタンスを表現するときの像としても使いやすいものです。自己紹介を考えるときなどに、「私ってどのカードに近いかな?」という切り口で使ってもいいかもしれません。

記事を書いた人

小濱香織(ももねこ)OBAMA KAORI

文章を書いたりコードを書いたり喋ったりする人。 このコラムでは主に占い(タロット・西洋占星術)の記事を書いています。 園芸とアクアリウムと自転車とバスケ観戦が好き。 とにかく楽しく生きています。

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