【本の紹介】マインドフル・ワーク「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える

世の中のブームに一歩遅れまして……「マインドフルネス」についての本を読んでみました。

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ストレスを減らし、集中力を高め、思いやりの心を育む――今、ビジネスリーダーがこぞって取り組み、最新科学がその効果を後押しする「マインドフルネス革命」とは? 全米が大注目する心のエクササイズ=「マインドフルネス」が、多忙な情報社会を生きるあなたの働き方とビジネスを根本から変えていく!

といった形で紹介されいてる本で、話題となった「マインドフルネス」ってどういうものかがわかる内容になっています。

この本を読んだ理由

マインドフル・ワーク


今では当たり前のように耳にするようになった「マインドフルネス」。そして「瞑想」。ビジネスリーダーや有名なスポーツマン達もモチベーションをあげる為に瞑想を行っているといわれています。ここ数年で一種のブームとも言えるくらい新鮮な形で登場し、色々な形で取り上げられていたように記憶しています。
私は何となくその存在を知っているだけで、「なんかこんな感じ!」という勝手な想像だけで片付けていました。正直、「マインドフルネスかぁ………瞑想かぁ………ま、いっか。」みたいなテンションでした。
きっと、取り入れてみても良いものではあるんだろうなぁ……とぼんやりは思っていましたし、周囲の方々が取り入れていく様や良さを感じつつも、その存在を何となくでそっと置いておくだけにしていました。
そんな状態ではあったのですが、良いか悪いか、やるかやらないかは置いといても、知らないのも何ですし……という、さほどテンションの高くない状態でありながら、きちんと知らないのも何だかなと思い読みはじめた訳です。
すると、中々どうして思いのほか面白いものだったので、内容の紹介と読んだ感想なんて書いちゃおっかなぁ~っとそんな気分になったこの頃でございます。

本の内容について

マインドフル・ワーク


この本、まさにタイトル通りの、「マインドフル・ワーク『瞑想の脳科学』があなたの働き方を変える」といった内容で、あくまで脳科学の視点で話が進んでいきます。
ざっくり言うなら以下の事が書いてあります。

  • マインドフル瞑想とはどの様なものか
  • 著者がどんな形でマインドフルになっていったか
  • スティーブ・ジョブズ等、人や企業がどのように、マインドフルネスを取り入れて、どんな効果があったか。
  • 科学的な効果や実績
  • メリットデメリット
  • マインドフルネスが広まった理由
  • マインドフル瞑想のやり方(付録)

この本は、瞑想の仕方は付録として載っているだけです。つまり、瞑想のやり方を懇切丁寧に書いてあるものではありません。
勿論軸になるものは書いてあるので、このまま自分で深めていく事も出来るとは思います。しかし、本当に基本となるものしか掲載されていませんので、細かいやり方を知りたい人は他の形で学ぶ必要があると思います。
しかし、マインドフルとはどういう状態なのか。何の為にやるのか。どういう効果があるのか。という「何?」という部分は凄く良くわかります。私のように、とりあえず知りたいという方にはおすすめの本です。
特に、こんな人達(企業)がそれぞれこんな風に取り入れていて、こんな効果があったという事例がたくさん掲載されていたのでそれが面白かったです。
そして脳の電気反応を調べた結果の話もされており、マインドフルな状態が実験結果としてどう出ているかという事も掲載されていますので、「これは何だか良さそうだ!」と感じさせる、説得力がある内容となっています。
この本のメインとなる内容は、このストレス社会で、「どうストレスを軽減し、効率的に働くか」という目的のもと、自分の考えや思いをただただ観察する事で今に集中し、心を強くするという瞑想法についてです。
瞑想といえば、勿論仏教の流れがあるわけですが、この本に書いてあるマインドフル瞑想とは、宗教の概念が強いものではなく、今の時代を生きる為の「心のエクササイズ」として書かれています。ローブを着て足を組んで何時間も過ごす必要もないそうです。
今の時代に合わせたものなので、色々な宗教感を持った幅広い人達に受け入れられるような形になっているようです。つまり、瞑想と聞くと何となく怪しいとも思えてしまう感覚を脱いだ現代的な瞑想といったポジションなのかもしれません。

この本でのマインドフルネスとは

マインドフル・ワーク


では、この本でいう「マインドフルネス」とはどういう事か。
以下の様に書いてありました。

マインドフルネスを一言で言うと、私たちの頭の中に生じるさまざまな考えを、それに心を動かされることなく観察する力のことだ。自分の感覚を、苦痛なものでさえも、心を動かされることなく感じることのできる能力である。自分の体験に対して自覚的になり、判断を交えることなく観察し、物事に対して恐怖や不安、貪欲からではなく、明晰さと思いやりの心で反応する。
マインドフルネスとは「完全に現在に存在すること」だ。マインドフルネスとは、過去の思いに囚われたり、未来を夢見たりすることなく、このとき、この場所に存在することだ。

そして、マインドフルな状態であれれば以下のような事につながると書かれています。

  • 彷徨う心の状態をコントロールする事が出来る
  • ストレスの軽減や集中力の増加へ繋げる事が出来る
  • 自分がどんな創造に手を貸したいのか、より明確な選択が出来るようになる。
  • 不満から自分を解き放ち、自分自身と他者への思いやりを育てる事が出来る。

人って、過去にあった事に囚われて不安に陥り続けちゃったりとか、未来の事ばっかり気にしてしまったりするじゃないですか?しかし、それでは折角の「今」が疎かになっちゃっている訳です。どうにかできるのって「今」の瞬間の自分だけなのに。
マインドフルネスな状態とは、今に集中する為に自分の今の状態をひたすらじっくり観察して把握し、不安があるのであればそれを排除するのではなく不安として認め、真正面から受け止めることで心を強く保ち、「今」に焦点を戻すといった事だと解釈しております。
「今」を強く感じさせますので自ずと今の自分の集中力が高まるのだと思います。
そして、私がちょっと面白いなと思ったフレーズもご紹介。

  • あるマインドフルネス指導者が言うように、「私たちは、臆病な猿の子孫」なのだ。
  • 瞑想は私たちの「精神の筋肉」を鍛え、集中を持続し、深める能力を授けてくれる。
  • 痛みを経験することは避けられない。しかしそれに悩まされる必要はない。
  • 端的に言えば、私たちの心の使い方が脳の働き方に影響を与える、ということだ。でももっと簡単に考えるならこうだ──「何かを実践すれば強くなる」。

この事から、私たちは元々「不安」と共にある存在なのだなぁと改めて思いました。それを認め続ける事で強くあれるのかもしれないなぁ。

本の感想

マインドフル・ワーク


冒頭に書いた通り、あまり知識もなくテンションも低い状態で読んだのですが、だからこそ、楽しく、興味を持続して読む事が出来ました。
そして、気づかされた事もたくさんありました。
日々、今を真正面から見据えることよりも、意識が過去や未来に向かって上の空になっている事がたくさんあるなぁ…と。
過去にあった嫌な事とかで、頭が一杯になる事って絶対にあるじゃないですか。嫌で嫌で今やっている事が手につかなくなってしまったり……もしくは、未来にこんな事があるんじゃないかという想像。そればっか考えちゃう事。誰しもあるあるではないでしょうか。
でもこの本の形でいくと、それはそういう自分がいるなぁ……と自覚するだけで良いみたいです。今の自分の感覚をただ受け入れる訳です。これが嫌だったんだなぁとか先の事が不安になっているなぁとか。ただ自分の思考と思いを受け入れていく。こんな不安な感覚から逃れたいと思うのではなく、自分は不安なのだと受け止める。痛いとこがあれば痛いなぁと受け止める。自分の反応にびっくりした時に心が乱れる訳で、ひたすらにそれとして受け止めれば落ち着いていられるという事なんだと思います。
落ち着いて自分の状態を受け入れられれば「今」という瞬間に集中する事ができます。
今目の前にある事をしっかりやる。楽しむ。目の前にいる人との時間を大切にする。その時を十分に満喫することに重きをおけるようになる訳です。
急なトラブルの対応だって、やり切ったと思えるような手段をきちんととったならもう出来る事は無いはずなので気にしても仕方が無い。他の事をする時間になったら忘れるくらいの感じで良いのだと思います。
その時やれる事をやって、やりきったんだったら区切りをつけて次に集中する。そういう風に今の事に集中してけば、ひとつひとつの事を丁寧に今の自分の精一杯として過ごしていける訳です。
瞑想というと、角度を変えれば怪しくみえがちです。
宗教のニュアンスが強いので敬遠される事もあるでしょう。
でも、この本では宗教感が違う人でも、よりフラットに取り入れやすいものとして紹介されています。ですので、すんなり入りやすいものに感じられます。
瞑想の中には「不安を開放する」という事を売りにして、まるで全ての不安や悲しみが無くなるかのような事を言っている人達もいます。その本質はわかりませんが、私的には無くしてどうするんだよ!という気持ちもあったりします。どんだけ嫌なの!自分のでしょ?ってね。不安も喜びもあるもんはあるんだから!という面では「受け止める」という行為は納得する事ができました。
この本にも書いてあった通り、良い面ばかりではなくマインドフル瞑想が批判されている一面もあります。例えば以下の様な点。(この様にデメリットも書かれている事で、瞑想について判断しやすい本ともいえます。)

  • 宗教的な目線でみたときに、表面的な取り入れ方をしているだけのものではないか
  • マインドコントロールに繋がるのではないか
  • マインドフルネスという金儲けの流行りの産業ではないのか。

宗教観が違う人でも取り入れやすいが故に、表面的だといわれてしまう事は納得できますし、企業内で心の扱い方をレクチャーするという事はマインドコントロールに繋がるといえてしまう事もあるでしょう。
そして、実際マインドフルネスを単なる流行りのサービスとして提供してしまっている人達もいるのでしょう。
ですから、自分が取り入れる前にどういうものか、良いも悪いも理解して、どう使っていくかをある程度分かっていないと単なる何かで終わってしまったり、振り回される可能性もあるでしょう。もちろん教わる内容や教わる人を入念に選ぶ必要もあると思います。
そもそも、そういう風に心穏やかにする事が自分に良い事なのかっていう事を考えないといけないですね。
そして、それをやれば簡単にどうにかなるというような過度な期待を持つのも危険な事であると思います。
どんな事でもそうですが、「これさえやれば自分を変えられる」というような虫の良さや、「現状から逃げたい」という逃げの為に使うのではなく、「自分を保つ為に取り入れる」という自分の意思をブレないように持っておかなくては、その力を最大限に活かせないのではないかと私は思っています。
この本を読んだばかりで、実践し続けてもいない私なので自分の瞑想体験の効果をお伝えする事も出来ず、マインドフル瞑想をお薦めするともしないとも現段階では言えないのですが、心と脳の繋がりについて知り、考える時間をくれる本であったという事は確かです。
翻訳のせいなのかちょっと言葉の接続がアレ?ってなるところもありますが、きっと穏やかな気持ちで落ち着いて読めば大丈夫!!
サラッと数時間で読めますし(5時間くらい?)読みやすいので、私のように「これからやってみたい」または「知りたい」という方に調度良い本です。
マインドフル・ワークをがっつり取り入れないにしても、こんな考え方があるという事を知っておく事は無駄ではないと思います。

自分が実践してみようと思った事

マインドフル・ワーク


どうせならやってみましょうかね?という事で、この本を自分なりに解釈して出来た私ナイズの実践しようメモ。

とりあえず、瞑想してみっか!

しないわけにはいきません。瞑想。
1日に1回5分でも良いから、呼吸に集中して、何も考えない時間を持ってみよう。スーハー。今の自分を感じる時間を持つ。

目の前の事に集中する

過去に囚われすぎず、未来の事ばかり考えすぎず、目の前のひとつの事に全力でパラメーターを振る!
食べるときは集中して味わい。遊ぶときは集中して楽しむ。勿論仕事もね。
他のことに意識を振らない。逆に振らないように他の事を処理しておく。

反射的なリアクションに選択を委ねない

焦ってしちゃう行動ってあるよねー。不意な出来事であったり、時間が無いからとか、状況の圧に負けて焦って選択する事はやめよう!
落ち着いて、状況を把握して納得してからにするぞ。

あと、複数名での話し合いの時とか早く出た意見に偏ったりするけど、その場で一番声が大きくて一番早く出た意見が最善とは限らない訳で、自分の意思が整うのが遅くなろうと、焦らず納得できる意見を唱えたり、支持したりするのも大切だね。どうでも良い時は良いけど納得したい時は皆がそう出来る空気も作りませんとね。

場や間をつなぐためだけの動きや会話をしない

テンポの良い会話や動きを楽しむ事もあると思う。それはそれで楽しむ。
でも、より濃い内容にしたいのであれば、例え沈黙の時間や変な間が出来ようと、自分の想いとして意識できてから、意思表示や伝達・行動をするようにする。
お互いに何かを考えたり、何も考えない時間を見守れるようになるのも良いかも。急に話し出したり、だまったりする変な間の人達みたいになるかもしれないけど、それも面白いかもね。熟考するならしとこう。

十分にやったと思えることは一旦忘れておく

考えても仕方ない事ってあるじゃない。不安だったり何だったりで頭が一杯になるけど、やるべき事はやり終わったって事あるでしょ。
その場合は、それについて考えこんでいたら、「今」が勿体ない。やれる事はやったのなら一旦忘れておきましょう。また、目の前に出現した時に考えれば良し。
不安が故の行動や思考を厚塗りしない!これは大事。
その他にも、ちょろちょろあるけど大体こんな感じの事を意識してみようかなと思っています。
こう挙げてみると、とにかく心の余裕第一なのでは。
急いでやればいい。早くやれば良いってもんじゃないって事もありますよね。早いかどうかより内容が重視される事もあるでしょう。
場に流されず、余裕をもって考えて行動する。そうすれば納得につながる。その納得っていうのは、みんなの幸せみたいなものに繋がっていればより納得しやすい。っていう事になるのかもしれません。
そして、今に意識を向けていれば自ずと無駄な動きが減って迅速な対応が出来るともいえます。過去の過ちに囚われて予防線をはったり、未来への不安からの準備しすぎる事が無くなるのでは無いかと考えられます。
急いだり早くしようとしなくても、目の前の事をきちんと対処すれば、それが最速といえるのではないでしょうか。
この本を読んでみて、そんな事を思い、実践してみようかなと思った次第です。勿論やってみないと自分に合っているのかも、良いものを産むのかもわかりません!
やってみつつ、少しでも自分が納得できるような状態になれば良いなと思います。(良くないと思ったらやめるよ!)
さて、どう感じどうなるものか。