『ペンタクル キング』は、まさに経営者を思わせるカードです。組織の上層に立ち、眼下に広がる営みを維持・発展させるべく動く人物像が想像できます。この人物が持っているのはすでに安定した組織で、その基礎として積み上げられたノウハウや資産があり、さらにそれらを活用して実績を積み上げ続ける、というイメージです。

5月に入ってしばらくすると、Bリーグの移籍市場が動きはじめます。チームAの〇〇選手がチームBにいった、チームCの△△選手は来季も契約継続だ、そういった情報とブースター(ファン)たちの悲喜こもごもでSNSや掲示板が賑わいます。そこには「オーナーが来季のビジョンをこう語ったからきっとこうなる」「社長はこういう考えのようだからきっとああなる」のような意見や情報も絡んでいます。プロスポーツチームである以上、チーム編成ももちろん会社としての経済活動の一環であり、会社のお金があってこそのチーム編成です。
昨今は経営者が自身のSNSアカウントでカジュアルに発信することも多くなりました。そのおかげで、会社としての動きをほんの少しリアルに楽しむことができます。今日も、とあるチームのとあるスポンサーの社長さんが、「チームの社長さんが営業にやってきた」とSNSに投稿していました。それはもちろん来季のスポンサー契約の話で、私個人としてもかなり気になる話題です。スポーツチームの運営には何せお金がかかりますし、スポンサー企業との関係性は、お金だけでなくお金と同等かそれ以上に大切な地域とのつながりに影響しますから、心の底から「頼む!契約更新を!お願いいたします!!」という気持ちになります。何なら、主力選手がどうのこうの岡田の抜けた穴を埋めるエースPGがどうのこうの、という話よりも緊張します。
ここ数年、私がBリーグのあれやこれやを見て感じてきたことは、「潤沢な予算があってこそ盤石なチームづくりができる」ということです。こういう風に言っては元も子もありませんが、お金がないと上位に勝ち進んでいくのはかなり難しい様子に見えます。ある日の試合会場では、某スポンサー企業の企画タイムに、後方の席から「ほら!スポンサーさんに感謝する時間だよ!おかげさまでバスケ観れてるよ!」と言う若い女性の声が聞こえました。そうです。スポンサーさんのおかげでバスケを観れるのです。本当にありがとうございます。
ここで冒頭に戻ります。『ペンタクル キング』はまさに経営者を想起させるカードです。スポーツチームの頭上では、『ペンタクル キング』同士が手元の資産をあやつり、お互いの共存・繁栄を描いて交渉や付き合いを続けています。スポーツチームを応援する楽しみのそばには、『ペンタクル キング』の言動から未来を占う楽しみ、『ペンタクル キング』同士の関係性を推察(時には邪推)してはチームの動向を占う楽しみがあります。必ずしもその範囲に興味を持つ必要はありませんが、もしも興味が湧いたなら、そういう目線でチームやリーグ全体を見てみると面白いと思います。