タロットの小アルカナ「A」の絵柄は、4つのスートのどれも共通した構図になっています。空に浮かぶ雲から伸びた光る手がそれぞれのスートを掲げる構図です。各スートの生まれたばかりのピュアなエネルギーが、神秘の手によってこの世に顕現する瞬間のようです。ただし、これらのエネルギーはまだ神秘の手に在りこの世に降りてはいません。人間が知覚できるのは「2」以降だと言えます。
『ペンタクル A』は生まれたばかりの「物質・現実・成果」にまつわるエネルギーを表します。いよいよこれから具体的に現象化していく兆し、とも言えそうです。

私たちDUCK WORKSはさまざまなグッズを制作・販売しています。グッズを作るとき、ぽこぽことアイディアが湧き(ワンド)膨らんで(カップ)整理され(ソード)、手を動かして作る(ペンタクル)のが一連の流れです。この「手を動かして作る」にも段階があって、例えば「材料を買い集めてあとは作るだけ」の状態を『ペンタクル A』で表現することができます。
また、グッズができあがり(ペンタクル)、とりあえずSNSなどで「できたよー!」と出し(ワンド)、表現を膨らませて(カップ)、商品として画像や説明文を添えて発信(ソード)、商品になって売り上げになる(ペンタクル)という流れもあります。この場合、グッズができあがったタイミングを『ペンタクル A』で表現してもいいかもしれません。商品になる予定のモノはあるものの、「商品」としてはまだ成り立っておらず、もちろん売上にもなっていません。自身の手元にお金がやってくるかどうかは完全に未知数、まさに神のみぞ知るといったところです。
『ペンタクル A』の特徴は、はっきりとした事象としては見えないものの、飽くまでも現実もしくは物体としてのタネがあることです。レシピと材料がなければグッズはできませんし、グッズがなければ商品にならず売上も立ちません。ぼんやりとしたアイディアや「やればできると思うんだよね」といったあいまいな状態はペンタクルの領域ではない、と認識した方がリーディングはしやすいと思います。
上にも書いたとおり、さまざまな事象の流れをワンド~ペンタクルの流れで例えることができます。ペンタクルからワンドに戻り、またカップを通って……という繰り返しを至るところに発見できます。さらにその中でA~10の状態を見つけることもできます。
もしも目の前にぼんやりとしたアイディアや「やればできるんだよね」といった状態があれば、何でもいいのでまずは現実化してペンタクルの状態まで持っていくと、次のステップに進みやすくなります。先ほどのグッズの例えに付け足すと、「試作する」という段階です。手を動かして作ったあと、商品として成り立つモノに仕上げるには、何度も試作しブラッシュアップする必要があります。
試作品(ペンタクル)、自身が使用しての体感(ワンド)、誰かに使ってみてもらっての感想(カップ)、それらをまとめ分析しての改良案(ソード)、試作品2号の作成(ペンタクル)……という流れを繰り返してできあがったものと、「とりあえずできたから売ってみよう」という段階のものでは、おそらく売れゆきに差が出ると思います。商品そのものだけでなく、商品画像や説明文、決済の仕組みなどなど、売り方に関しても同じことが言えます。
余談ですが、普通に暮らしていると、自身の状態を細かく分解して認識するのはなかなかの一仕事です。タロットで遊ぶメリットのひとつに、それらの分解・認識をタロットに設定された象徴になぞらえて進められることがあります。タロットは、自分自身を一旦「分離させ」、カードの絵柄に映すことで「再解釈する」といった試みを、比較的手軽に試せるツールです。目的に向かって手段がごちゃついたとき、自身のポジションやステージがわからなくなったときなどに、タロット占いが役に立つかもしれません。