野良占い師と所属占い師に必要な『安心感』について考える

ももねこ、占い師やってます。個人でお代をいただいて占いをやるようになってから3年半ほどはインターネット&イベントで活動、そして2018年6月からしばらくは、インターネットでの活動に加えてとあるお店に所属する形でも占い師をやっておりました。そして2020年2月より、京都の京阪三条近くにDUCK WORKS LAB.という事務所を構え、そこで占いをしております。

今回は、『DUCK WORKS=野良占い師』と『店舗所属占い師』というふたつの立場で占い稼業を営んだ経験から気づいた「それぞれの安心感」について書き記します。占い師という仕事に興味がある方はぜひ読んでいってね。

『占い』という無体物を売るということ

野良占い師と所属占い師に必要な『安心感』について考える

はじめに、『占い』という無体物を売るムズカシさについて少し書きます。

無体物とは無形物とも言い、その名のとおり「決まった形のないもの」です。占い師は自分のスキルが商品であり、無体物を提供する職業ですね。鑑定書や動画のような形で占いの内容をモノに写してお出しする場合もありますが、商品の本体としてはサービスと技能であり、物品販売(有体物の販売)ではありません。

有体物の販売であれば、商品画像や説明を見ると「こういう商品だな」という仕様やイメージが具体的に伝わってくるよね。有体物は、商品価値と価格のバランスにある程度納得してから購入できるので、安心感が持てるのですな。

対して無体物は、商品の仕様だけだと「多分こんな感じだよね……?」くらいのイメージになりやすい。例えば占いの場合だと「1,000円/10分」「3,000円/1,000文字」みたいな仕様の書き方が大半になりますが、それだと何となくの量はわかるけれどもそこに何が詰まっているのかがまったく見えません。例えどんなに丁寧なサンプルが添えてあっても、お客さまの手元に届くものとは一字一句違うはずです。

『占い』という商品は、お客さまにとって大切な「そこに何が詰まっているのか」が、仕様だけだとどうしてもわからないんだよね。こいつぁ不安だよね。

野良占い師と所属占い師、それぞれが創るべき安心感

野良占い師と所属占い師に必要な『安心感』について考える

お客さまは安心感がないとなかなか購入に至りません。安心感を持ってもらうために、占い師はいろいろと工夫をせねばならんわけです。

野良占い師が最初に越えなければならない壁……それは 『ベースの安心感』

大抵の場合、野良占い師は個人運営です。最初は誰でも、申込みの仕組みも決済の仕組みも持たない一個人であります。お客さまの立場からすれば、どこの誰ともはっきりしない人にお金を渡し、なおかつ非常に個人的な悩みを開示するという事実には、どうしても不安と怖さがつきまとうのではないでしょうか。どう?文字にしたらめっちゃ怖くない?私は怖いよ。

なので、野良占い師として活動するなら、まずはそれらの仕組みを「お客さまが安心して使える」という視点で揃えるのが大切だと私は考えます。既存のサービスを利用してお客さまが安心できる申込み・決済の仕組みを借りるか、「この人なら大丈夫そうだな」と思ってもらえる活動拠点をがっつりと作るのがおすすめです。DUCK WORKSはがっつりWEBサイトを作って、その上でサイトでもSNSでも顔や本名をガシガシ出していますが、これはそういう理由ね。

念のため申し添えておくと、顔出し・本名出しをしないと安心感が作れないというわけではなく、顔と本名を出すという手段は安心感をつくるのに効率がいいと判断した、ということです。なので、何らかの事情で顔出し&本名出しNGの方は別の手段を考えればOKよ。

もちろん、顔を出そうが名前を出そうが手段はそれだけでは足りないので、併せてさまざまな施策をとる必要があります。

『ベースの安心感』を完全に店舗にお任せできるのが、所属占い師

実際の店舗や電話占いのポータルサイトなど、 申込みと支払いの仕組みが成り立っているという事実と、お客さま⇔占い師という個人間に法人が介すという事実は、お客さまにとって大きな安心感となり得ます。「何かよくわからん野良占い師にインターネット経由でお金を渡すのは怖いし、ましていきなり会うなんてのはもっと怖いから、お店がいい!」という人はごまんといるでしょう。

ベースの安心感をつくることにエネルギーをかけなくて済むのは、占い師側にとっては正直超楽チンです。特に直接会うタイプの対面占いは場所などの課題もあるので、「私はとにかく対面で経験を積みたいんや!」という人は店舗の所属を狙うと手っ取り早いかと思います。私自身、対面占いの経験をドカンと増やしたい、と思ったタイミングで店舗に「占い師になりたいんですけど~」って電話しました。自分たちだけで対面占いの申し込みを増やすよりも、店舗に頼る方が高品質で低コストでスピーディーだと判断したのよね。

野良だろうが所属だろうが必要なのが『マッチングの安心感』

『占いという無体物を売るということ』という段落で書いたとおり、無体物を商品として扱うかぎりは購入されてからしか実物を見せることができません。お互いのためにも、事前にどれだけマッチングを図れるかという点はとても大切なのよ。

なので、できるかぎり広い範囲で、多くの人々の目に触れる場所で、「私はこういう人間ですよ」「私の占いはこんな感じで納品されますよ」みたいな、マッチングに役立つ情報を開示しまくりたいところです。

特に野良占い師!ベースの安心感で不利になりやすいのだから、マッチングの安心感に繋がる情報は全力で提供した方がいいぞ!ブログを書く、SNSで発信する……インターネットで活動しやすいこのご時世、手段は何でもあるでしょう。面倒くさがらずにやろう。

野良占い師と所属占い師に必要な『安心感』について考える

というわけで、まとめますと……

  • 野良占い師:ベースの安心感+マッチングの安心感
  • 所属占い師:マッチングの安心感

を、それぞれ創り出さなければならんわけです。

野良占い師は各種サービスに手数料を払って『ベースの安心感』を「補強」してもらう、所属占い師は売上の何割かをお店に渡して『ベースの安心感』を「買う」……と考えるとシンプルでよろしおすな。

言うまでもなく、安心感があればクチコミだって広がりやすくなります。「友だちや家族に安心してオススメできるかどうか」という視点、めっちゃ大事やで。

自分のスキルを商品として提供するということ

野良占い師と所属占い師に必要な『安心感』について考える

『マッチングの安心感』には、「私のスキルってこんなにイイよ!」と世の中にアピールすることも含まれます。

野良占い師は自分をめちゃくちゃ自由に売れる

何の決まりもなく!好きなように!営業できる!野良占い師にとって、これが何より大きな魅力ではないかしら。正直、野良でやる楽しさはここに詰まっていると言っても過言ではない。やりたいことはやればいいし、やりたくないことはやらなければいいのだ。 (念のため書いとくけど、作業ベースちゃうで、ポリシーの話やで)

コストや利益という観点で見ると、野良占い師の場合は報酬が100%自分の手元に入ってくるので、完全歩合制での契約がほとんどであろう所属占い師よりもたくさん稼げるようになる可能性があります。が、当然ながら諸経費もすべて自己負担なので、利益をしっかりと出せるようになるまでは「稼げないなぁ」と思うかもね。野良占い師の場合は、ここら辺のバランスをどう作っていくかも自分の裁量にかかっているのだ。エキサイティング~!

とにかく、自分が「こうありたい、こうなりたい!」と思ったら、それを純粋にまっすぐに貫きとおせるのが野良占い師です。貫きとおす、と決めた自分を選んでくれるお客さまをどう集めるか、どう営業していくか……という手段や手順までも含めて、自由にできる楽しさがぎゅうぎゅうに詰まっています。

まずはお客さまを集めるのが大変、集めたあとに喜んでもらうのはもっと大変。けれど、そこにある楽しさ・面白さは本当に本当にでっかいの。ただそれだけと言えばそれだけですが、それが故に私は野良占い師でいるのです。

所属占い師はある程度ええ感じに売ってもらえる

身も蓋もない言い方をすると、店舗側には売れない占い師で席を埋めるメリットがありません。その占い師を所属させると決まったら、それなりにその人が売れるようにいろいろと施策をあててくれるところがほとんどかと思います。プロフィールをWEBサイトやカタログに載せたり、雑誌や街頭やネット上や何やに広告を出したり、ブログやSNSで紹介したり、名刺を持たせてくれたり……

もっと言えば、前項で述べた『マッチングの安心感』についても店側で手を入れてくれることがあります。何故なら、同店舗内で占い師同士がお客さんを取り合うのも店からするとメリットにならないから。いい店に当たれば、「あなたの個性はここが魅力的に見えるから、こうやっていくのはどう?」なんて、野良では手に入りにくい“ 客観的なご指導ご鞭撻 ”を得られることもあるわけです。

それと、どうやら占い師の養成やプロデュースをしてくれるところもあるみたいよ。適当に検索してみたら「デビューまでしっかりサポート!占い師募集」とか「占い師のプロデュースに携わるスタッフ募集!」みたいな採用情報がポロポロ出てきたので、そういう志の下に運営されている店舗はあちこちにあるようです。実情は知らんけど。

「占い師として、純粋に占いに集中したい!」という人は所属占い師の道を選んだ方がいいかもね。きちんと運営している店舗であれば、出勤して席に着いているだけで新規のお客さんが来るんやで。これってめちゃくちゃすごくてありがたいことだって、きっとすぐに実感すると思います。

そして、飽くまでも所属占い師は『所属』なので、野良占い師に比べれば自分の売り出し方に制約がかかりやすくなります。自由度が下がる、これは当然ですね。「こういう風にやりたい!」という自我がある場合は、後ろめたいことをしなくて済むように、きちんとお話しておくことをおすすめします。 ここら辺は店舗の方針のヒアリングと採用時の交渉がモノを言うところね。

野良占い師だろうが所属占い師だろうが、約束はきっちり守ろう

契約や規約の類はきっちりと理解し、きっちりと守る。これめちゃくちゃ大事よ。

契約や規約というものは、法律に関わる部分が多分に含まれている

どんな事業も「こういう事業をやるよ!」というタイミングで国やら世間やらといろいろな約束をしています。そしてその約束を基に、さまざまな契約や規約が設定されています。

要は、怒られてからじゃ遅いのですね。例えばインターネット上で販売系サービスを利用しているとして、何らかの理由で運営側から指摘が入った場合は、よほどのことがないかぎり運営側の指示に従うことになります。アカウント停止措置を受けて「せっかく集客したのに!」と悔やんでも、どうしようもありません。

店舗所属の占い師も、約束を破れば働く場所を失う可能性があるよね。店舗側との約束はちゃんと守ろうね。でもって、気持ちよく守れるように最初からしっかりと交渉しておこうね。

クリアに公明正大に、後ろ暗いところは作らずに営業する。これは野良だろうが所属だろうがめちゃくちゃ大事なことやで!

ついでに考えよう、占い師の“社会的信用度”

これ、めちゃくちゃ低いって知ってた?クレジットカードなどの決済の仕組みを導入しようにも、大部分のサービスが「霊感や占い、スピリチュアルなどの商品を提供している事業での利用はNGです」と規約に書いてございます。

その他にもいろいろと「霊感・占い・スピリチュアルだからこそ」の障壁が世の中には存在します。ま、規約で決められちゃあしょうがないね。無体物(無形商品)な上にいろいろと悪用もしやすいジャンルだからね。DUCK WORKSの「せいいっぱいクリアな営業をしよう」という想いはこういうところからも生じているのだなぁ。

まとめ

ああだこうだ書きましたけれども、まずは安心な場所を見つけて「とにかくやってみる!」というのが一番大切ですね。やらないと何もカタチにならないし、カタチにして経験を積まないと実力も伸びませんから。

手軽に始めやすいのは野良占い師、それもテキスト納品形式のカタチがやりやすいのではなかろうか。「占い師をやってみたい!」と思ったら、まずは既存サービスを介してメール占いから初めてもいいかもね。最近は野良占い師にやさしいレンタルスペースなんかもあって、実際にお客さまと会う形での対面占いのハードルも下がりつつあります。活動のカタチ、ますますバラエティ豊かになっていきそうだよね。

野良占い師と店舗所属の占い師、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ぶっちゃけどっちがいいとか悪いとかはないので、自分のスタイルに適した「場」はどういうものなのか、という視点で活動場所を選べばいいと思うよ。

また、下記の記事でも占い師としての活動について書き綴っています。よかったら読んでみてね。

DUCK WORKSの占い、やってます。

具体的な相談ごとがあるとき、コミュニケーションを取りながら細かく掘り下げて「考えの種」が欲しいときは、占いメニューがおすすめです。タロットと西洋占星術をメインに占います。

京都市の東山三条にある事務所での対面占い、Zoomでのオンライン占いが選べるよ!お好きな方でいらっしゃいませ。