タロット占いをやっていると、ついついポジティブな結果を願ってしまいがち……なところに一見ネガティブに見えるカードが出て、リーディングに戸惑いが生まれることがあります。「彼の気持ちに『塔』って!」「『ソード 10』がアドバイスってどういう意味??どう対策すればいいの??」みたいな感じね。
慣れてくるとどんなカードがどこに出てもすらすらと読めるようになるのだけれど、慣れるまでは絵のインパクトが先行して「ええー!そんなご無体な……」となることも多いのよね。
今回メインで取り上げるのは、大アルカナ『塔』と小アルカナ『ソード 10』の2枚。場に出たら一瞬で「やばいな?」と思うカードたちですね。これらのカードを中心に、他のカードとのコンビネーションも交えた解釈例を紹介します。
相手の気持ちに出た!編
タロットを始めたら必ず一度は占うであろう、「相手の気持ち」「彼の気持ち」。どういう状況であれ、わざわざタロットを引きたい相手なのだから、そりゃあ一目で明るい印象のカードが出てきてほしい人が圧倒的に多いと思います。
だがしかし、出る。出るときは出る。
この項では、「自分との関係性における相手の気持ち」という前提でお話します。単に相手の気持ちを前提におくと、自分との関係性以外のところにも言及できる範囲が広がってしまうからね。例えば「会社でどえらいことがあってそれどころではない」みたいなね。なので上記のとおりに前提を絞ります。
相手の気持ちに塔が出たら
どんがらがっしゃんしゃーーん!どうやら相当なショックを受けているようですね。『塔』の場合は物理的な変化・衝撃を表します。価値観が崩壊するような、今までの常識が通用しないと思えるようなできごと。「俺の普通はお前の普通じゃなかったんだな……!!」みたいな。
基本的には、正位置であれば「まさに今、崩壊している」。逆位置であれば「崩壊を経て再生しようとしている」と読めます。これ、恋愛関係や親友同士みたいに1対1の深いお付き合いでこそ生じる“重要な衝撃”であることには間違いなさそうだよね。「えっそんなことするの……!でもまぁそういう人もいるよね」でスルーできるような間柄なら、そもそもこのカードが出ても特に問題視しないのではないかしら。
人は誰しも成長するに従って世界を広げていき、その過程でそれぞれの価値観を形成し、触れ合う人々とそれらをぶつけ合って洗練させていくわけですが、こういった人間関係の中で『塔』に表されるような大衝撃が生まれたということは、相手との関係がそれなりに深いか、あなたの存在が相手の芯にクリティカルヒットするような奇跡的な巡り合わせだと言えます。
だからね、『塔』が1枚出たからって「もうだダメめだ」と思うのは早計です。その衝撃の先に何が起きるのか、を別のカードを引いて見ていくのがおすすめよ。
例えば、『塔』の先に『ワンド 4』が出たなら「崩壊を経験し、お互いの情熱を和合して仲良くなる」と読めます。他にも、世界観や場の形は違えど、根っこの情熱が似ているから和合しやすいよね~、とか。
『ソード 5』が出たなら「崩壊を経、相手が自分の意見をゴリッゴリに押してくる恐れあり」。かなりキツい対応をされてしまうかもしれないので気をつけて!とか。
ちなみに私は以前、会社との関係を占うとやたらと『塔』が出ていました。確かに、人生観とか仕事観とか生き甲斐とかに良くも悪くも酸いも甘いもひっくるめてでっかい衝撃を与えてくれた存在ですな。場の崩壊=退職も経験したしな。へへ。
相手の気持ちにソード 10が出たら
何、喧嘩でもしたの??お相手、もうこの上ないくらい傷ついてズタボロだよ。ってことはあなたも傷ついてるんじゃない……?
正位置であれば「まさに今、傷ついて精神的に死んでいる」。逆位置であれば「精神的な死を経て何とか復活しようとしている」と読めます。カードに描かれる人物の背に刺さるのは、“自分や相手が口にした言葉”だと思ってください。その言葉たちが相手を、そして自分自身を傷つけているわけです。
言葉というのは、相手だけでなく発した自分自身も傷つける諸刃の剣。グサグサグサと10本も刺さっているので、今はとても動けそうにないですね。まぁここまできたら何かが終わりますわな。10のカードなので限界を超えた過剰なエネルギーなのです。もうええ加減終わらせよう、マジで。
ただ、その「何か」はこのカードだけではわかりません。例えば恋愛をテーマにカードを引いて、ひどい喧嘩をした⇒『ソード 10』が出た⇒だから別れるんだ……!ってのは早計です。何が終わるのか?というのは、相手との関係性や事の経緯で変わってきます。新たにカードを引いて方向性を探るもよし、ダイレクトに相手と自分を観察して終わりそうな要素を探るもよし、です。
ひょっとしたらお互いの悪いクセが終わるのかもしれないし、張っていた意地がどうでもよくなるのかもしれないし、何かが終わった結果、関係性自体がどのように変化するのか?というのもこのカードだけではわからないのだ。
私の経験では、このカードが出たときのクライアントさんの顔って大体「あちゃー!」って表情になります。傷ついたのも傷つけたのも自覚があるからそういう顔になるのでしょうね。そう。タロットは、痛いところをズバッと突いてくるの。相手がグッサグサに傷ついていることは事実なのでしょうから、これから先どうするか?をアドバイスカードで見ていきましょう。
アドバイスに出た!編
アドバイスっていうくらいなんだから明るいカードが出てほしい。というかネガティブなイメージのカードが出ると、どう対策したらいいの?結局その方向性で良くなるの?ならないの?と翻弄されてしまう……ままあることですね。ネガティブなイメージのカードだって、「そんな言い方せんでも……」と思うことは多々あれどきちんとアドバイスしてくれるので、勇気を出して向き合いましょー!
アドバイスをリーディングするときは、以下の順序で整理すると読みやすいです。
- アクションの方向性
- 動き出す?休む?振り返る?整理する?
- 方向性に合わせた解釈
- 動き出す動機は?休む理由は?振り返りのポイントは?整理のコツは?
その後、深掘りをするために補助カードを引くのもおすすめです。(余談ですが、ここでオラクルカードの併用も効きますよ!何せ大半のオラクルカードはアドバイスがとっっっっっても得意なので!)
アドバイスに『塔』が出たら
アクション・対策の方向性としては、まずは何よりも「覚悟」しましょう、というところでしょうか。正位置であればこれから先に訪れるであろう崩壊に対する覚悟を、逆位置であれば既に起きた崩壊を受け入れる覚悟を。
やだやだ~!崩壊も衝撃も受け入れたくない~~!辛いの嫌だ~~~安定していたい~~~~!!なんて駄々をこねたところで事態は混沌から抜け出すわけでもなく長引くだけになりがちなので、ここはドンと構えて混沌を受け入れましょう!という解釈をします。
先ほど『相手の気持ちに出たら?』でも書いたとおり、それほどの混乱を与える衝撃は人生において大きな転機になり得ます。安易に「次のステップに必要な試練ですよ、あなたに必要な課題ですよ!」などと言う気はありませんが、転機になり得るほどの混沌・衝撃なのだから、向き合いようによってはかなりのチャンスになるはず。
アドバイスをもう少し深堀りするため、補助的にもう1枚引いてみるとしましょう。例えばここで『ソード 7』が出たなら、「混乱に乗じて要領よくおいしいところを持っていけるかもしれないからチャンスを伺ってみよう」みたいなアドバイスにもなるし、『ソード 3』が出たら「正直傷つくけれど、案外傷は浅いと信じてゴリッと受け入れちゃって!」みたいなアドバイスにもなります。
『塔』に重ねて『ペンタクル 5』が出ると……うん、まぁ、そうだね……暗いね……暗いけれど、「どんなにズタボロになっても、ズタボロ仲間と共に歩いて行けるから諦めないで、ひとりにならないで。とりあえずボロボロになっても誰かと寄り添って歩いて!」って感じですかね。
アドバイスに『ソード 10』が出たら
何よりもまずは労おう。お疲れさまです。本当に大変だったんですね……
先ほど『相手の気持ちに出たら?』でも書いたとおり、『ソード 10』は思考や理論という属性をもつ“限界を超えた過剰なエネルギー”なのです。なので、完結をキーワードに解釈を進めます。
アクション・対策の方向性は、「考え尽くしたことを自覚する」です。グッサグサの超絶大変な痛みを受け入れ、明日の糧にするにはどうしたって時間がかかります。なので、夜明けの端っこが見えるようになるまで、まずは区切りを味わって、もう考えることはないと自覚することをおすすめします。
まずは思考・精神的な分野での区切りを迎えたことを認識し、その傷が何を象徴しているのか、何故その剣があなたの目の前に現れ、かつあなたの背に刺さることになったのか……を一歩遠い視点で眺める時間を作りましょう。魂が身体から離れ、今生の終着点を振り返るようなイメージです。
逆位置で出たら、ある程度振り返りは終わっているようなので、そこに残ったものを冷静に並べてみましょう。夜明け前、深呼吸して頭の中をクリアにするイメージ。失ったものや傷ついたものは大きかったし涙もたくさん流れたけれど、その代わりに整理整頓できたこともたくさんたくさんあったはずです。
補助的にもう1枚引いてみたとして、例えば『ペンタクル 4』が出たら「物質的な執着から連想して思考を整理しましょう」というように読みます。自分がこだわっているものから、どうして自分の思考はそれにこだわるのか?を紐解いていくわけです。そのこだわりがあなたや相手を傷つけた剣を生んだ要因かもしれないし、そうじゃないにしても自分を縛る思考を探るヒントになるでしょう。
また、例えば『皇帝』が出たら「この傷と犠牲を経たあなただからこそ、揺るぎない自信と堂々たる生き方に繋がる一歩を踏み出せるはずやで!」と読んだりします。なんせ皇帝ですからね。めちゃくちゃ強いですからね。ちょっと強引なくらいの激励がちょうどいいんじゃないでしょうか。
【まとめ】ネガティブなカードの読み方
リーディングにおいて最も大切なのは、一見ネガティブに見えるカードも絵柄やキーワードにビビらず「素直に」「まっすぐに」意味を捉えることです。ポジティブだろうがネガティブだろうが、それはものごとの一面であって、時と場合によって良い方向に影響するか悪い方向に影響するかなんて、コロコロと変わります。なので、ポジティブなカードもネガティブなカードも同等に扱わないと、リーディングの内容が歪んでしまいますね。
絵柄やキーワードにビビってしまうときは、占いのテーマに対して「こうなったら嫌だ」という不安がある場合が恐らく多いと思います。ただ目の前に展開されたカードを客観的に、要は他人事だと思って読むくらいがちょうどいいです。
……とはいえ、我々人間はそんなに都合よくできておりませんので、目の前のカードたちに翻弄されても仕方がない。仕方がないですが、そこはどうにか気を確かにもって「ほほう、なるほどね」のスタンスで読むように努めましょう。
逆に、それがどうしてもできないくらい心が揺れるのであれば、一旦占いそのものから、せめてそのテーマから距離を置くのをおすすめします。そういうときに万が一にでもネガティブなカードが山ほど出たら、自分で自分を追い詰めることになっちゃうからね。
セルフリーディングをやるときは冷静さを保つために架空のクライアントを設定するのもおすすめよ!何ならメール占いでクライアントに納品する形式で書いたりしてもいい。
冒頭にも書いたとおり、慣れるとスムーズに読めるようになります。(ネガティブなイメージのカードに限ったこっちゃないが)たくさんカードに触って、何なら「塔から落っこちてる人たち、ひょうきんな顔をしてるなぁ」みたいに余裕が持てるくらい慣れれば、きっと読みやすくなるよ!
以下の記事で、大アルカナ・小アルカナを一覧でご紹介しています。
タロットを似た者同士で分類してみた記事です。勉強やリーディングの何らかのヒントになるといいなと思って書きました。よければ読んでみてね。
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