誰かを相手に占いをしたとき、「もう少し上手くまとめたかった……」「すっきりしないまま終わっちゃったな……」といった後悔を抱いたことがある方、結構いらっしゃるのではないかしら。
特に対面占いは、うまく進められれば豊富な情報を引き出せる反面、進行をミスると「結局何だったっけ?」となる可能性を孕んでいます。そしてその進行の成否は占い師の手腕にかかっているとももねこは思う。
なので、デビューしたての占い師さんは進行管理が最初の難関になるかもしれません。占い師側が主導権を握って、30分なら30分、60分なら60分の構成を考えて「占い」という商品を提供するのは、結構コツが要ると私は感じています。
というわけで!今回は、占い師の視点で「対面占いをうまく進めるために気をつけること」を、ももねこの経験から書き綴ります。
自分が対面占いで生み出せる価値を定義しよう
まず初めに、「自分自身が対面占いでどんな価値を生み出せるのか」についてきちんと定義しておくことをおすすめします。定義があってこそ占いのゴールが見えて、対面占いでのペース配分が上手くできるのですな。
でもって、この定義はそのまま自分自身の個性にもなります。焦らずゆっくり時間をかけて考えた方がいいです。もちろん、一度決めたら変えられないというものではなく、常に考えておいて定期的に見直す必要もあります。
というわけで、ももねこが考える『対面占いで生み出せる価値』はざっとこんな感じです。2とおりご紹介するよ。
対面占いで生み出せる価値:その1
- 多角的な視点での考察
- 会話の流れに応じてさまざまな角度から占いを進め、課題解決のヒントをできるだけ多く見つける。
- 課題のドリルダウン
- 重要だと思われるポイントが出てきたら、その場で確認をしながら掘り進め、そこから行動の優先順位を提案する。
- 考察の軌道修正
- お客さまが気づいていなかった課題の本質や認知のズレを発見し、取り組みの方向性をクリアにする。
特に3つめ、お客さま自身が気づいていなかったことに占いを通して気づけたら、その場で軌道修正ができます。めっちゃ効率的ですね!
例えば「業種が合わなくて転職したいんです」と相談にいらしたお客さまが、実は合わないのは業種ではなくて会社での役割だった、みたいなこともままあるんですよ。この場合は、解決の優先順位が「業種を変える」ではなくて「充実感を得られるポジションに就く」になるので、転職よりも異動の希望を出すことをおすすめする。そういう“解決の可能性”に気づくのはとても大切なことであります。
対面占いで生み出せる価値:その2
- 特性のドリルダウン
- お客さま自身の特性(事象への適性や考え方のクセ、出やすい性質等)をまとめ、課題に向き合う際の軸づくりをサポートする。
- 課題のドリルダウン
- ひとつのテーマをじっくりリーディングし、お客さま自身が課題に向き合うための材料として提供する。
- 特性を活かした課題解決の方法を探る
- お客さまが立ち回りやすい形を一緒に考える。
私は占いを『自分で課題にじっくり向き合うための材料』としても提供しています。課題への対処という“枝葉の視点”だけではなく、自分で解決するための基礎力を発見する・鍛えるという“根幹の視点”でも、占いのメニューを設計しているのです。
と、こんな風に自分のサービスの特性を箇条書きにできるまで、ご自身の占いの価値がどこにあるかを考えてみましょう。なかなか難しいことではありますが、「こういう感じで価値を提供しよう!」と決めておけば、自分自身の活動を導く灯りにもなります。闇雲に個性を探し続けるよりも、ある程度自分でガイドを引いた方が進みやすいとももねこは思うのだよ。
対面占いで生み出せる価値の探し方
考えてみましょう、つって考え出したはいいが「どうやって考えたらいいの!?」という人のために、手前味噌ながらヒントになりそうなアイディアを置いておきますね。
このツイートで書いたように、課題解決までには段階があると想定します。そして、相談を受ける側の視点で、『各段階の相談事を受けるときの得手不得手やスタンス』について考えてみてください。
例えばももねこの場合……
- 落ち着くまで感情を味わう
- 得手不得手:感情に共感したり同調したり……といったこの段階のサポートは本分ではない。
- スタンス:お客さまの段階がここにあると感じた場合は誠心誠意をもって接するが、アピールポイントにはしない。
- 要素を整理する・考察を重ねる
- 得手不得手:一番得意な段階。
- スタンス:お客さま自身で比較・判断、決定に進んでもらいたいので、こここそ本題。じっくりしっかりがっつり取り組みたい。
- 比較・判断する
- 得手不得手:得意な段階。
- スタンス:お客さまが主体となって取り組む部分。ももねこはサポートに徹する。
- 決定する
- 得手不得手・スタンス:ここは、ももねこ的には絶対にお客さま自身がしないといけない部分だと考えているので、そもそも除外。可能性や優先順位のお話はしますが、決定の段階には口を出さない。
こんな感じで、受ける相談の段階に合わせた得手不得手・スタンスについて考えていくと、自ずと占いで提供できる価値の輪郭が見えてきます。(もちろん、得手不得手・スタンスは人それぞれなので正解はなく、上記に挙げた私の例は飽くまでも「ももねこの場合」ですよ)
例えば、“落ち着くまで感情を味わう”の段階をサポートするのが得意であれば、占いを通して「話してスッキリした」「聞いてもらえて嬉しかった」という体験をお客さまに提供する、というゴールを設定できそうですね。“比較・判断”の段階が得意であれば、より的確な比較と判断を提供するために思いきって「○○専門」と謳って知識や経験を特化させたり、もしくは方角や時期を見るのに長けた占術を持つようにすると、いい感じにゴールが設定できるかもしれません。
対面占いのゴールを設定したら、構成とペース配分を想定する
占いの場合、大抵「先方の話を伺う」ところがスタートになります。そこからそれぞれのゴールに向かうと考えて、粗方のシナリオを頭の中に置いておくと、スムーズに進めやすくなります。
例えばタロット占いで30分鑑定の場合だと……
- お客さまの話を聞く(5分)
- いただいた時間に応じて、展開するスプレッドの数や種類を決める(1分……っていうかお客さまの話を聞きながら考える)
- その数に応じて、質問の内容を決め、お客さまと共有する、お客さまが用意している質問があればここで聞き出す(1分)
- 展開の区切りごとに話をまとめる(1展開につき10分、この例だと2展開が目安かな)
- 総まとめ(3分)
そしてこの後、必要や要望が生じれば延長、という感じ。どう?結構シビアじゃない?30分って、あっという間なんだよね。込み入った話だと30分じゃ足りないことが多いよね……
そう、実際のところ、ゴールを設定して占いを進めるにはそれなりの時間が必要なの。それをやるには、正直10分では難しい。20分も、内容によってはできるけれど、基本的にはちょっと難しい、ってのが私の体感です。タロットの場合、10分・20分でできるのは、ひとつの質問に対してひとつかふたつのスプレッド展開で「何らかのヒント」を出すところまでかなぁ。なので「これが聞きたい!」というのがばっちり決まっていれば、短時間でギュッと占うのもいいですね。個人的には、10分・20分で占いを“楽しむ”なら、占星術や手相、四柱推命などで「私ってどんな人ですか?」という質問をするのが楽しいし、ためになると思っています。
とにかく、30分以上の時間があれば「ゴールを設定した濃度のある占い」ができる、という感覚があります。逆に言えば、30分以上のお時間をいただいたのであればゴールを設定して密度を出していかないと、話が取っ散らかって不完全燃焼になりかねない、ということです。もっと言うと、30分以上だろうが何だろうが、時間制限がある中でパフォーマンスを出すにはそれなりに構成を立てる必要がある、ということよ。逆に、選択肢として「制限時間を設けずに占うスタイルを確立する」ってのもアリだよね。お店に所属している場合はなかなか難しいと思うけれど。
対面占いにおいて、構成とペース配分は道標
とはいえ対面占いはナマモノですので、用意していた構成やペース配分に当てはめようとしてもうまくいかないこともあるでしょう。特にいただいた時間が長い場合!私の経験上、30分くらいであれば、構成やペース配分に当てはめるやり方も比較的スムーズにいきやすいですが、60分ともなるとそうはいかない。会話はナマモノだ。流れが変わる、課題も変わる。途中途中で構成もペース配分も変化させる必要があります。
しかし、ノープランで挑むのはもっと危険です。構成とペース配分を道標にして、結果的にはゴールに辿りつくようにコントロールする、ここが腕の見せどころよ!!占いの時間が何分にせよ、めいっぱいの密度を保つのにはたくさんのエネルギーを使います。でもきっと、エネルギーを使えば使った分だけ、お客さまに持って帰ってもらえるものも大きくなるね。
お客さまにご依頼いただいた時間分、しっかりと『ええもん』を持って帰っていただけるよう、普段から構成とペース配分を意識して「占い」という商品を作る!という意識を持っておきたいと私は常々考えています。
まとめ
ももねこが考える、「後悔しない対面占い」を進めるコツをまとめます。
- 対面占いで最も大切なことは、ゴールを設定すること。
- 次に大切なことは、構成とペース配分を軸に持つこと。
- 軸に沿って、ゴールを目指す。途中で区切りを設け、まとめながら進行する。
- 寄り道・コース変更は必ず起こると心得る。(そしてそれを恐れない!)
- 必ず総まとめの時間を作る。
Tipsとして、いただいた時間に合わせてカードやら星やら何やらの占い的な説明の厚みを調整する、という小技も有効であることをお伝えしておきます。
こんな感じで、自分なりの進行のコツを持っていれば、「あのお客さま、満足したかな?」とか「尻すぼみになっちゃった」とか「時間が足りなかった」とか「まとめきれなかった」とか、そういう後悔はぐぐっと減るでしょう。後悔が減ればやりがいも感じられるし、何より楽しくなるし、エネルギーの消費量も変わってくる。無駄が減る。
もし、後悔に苛まれている占い師さんがいれば、参考にしてもらえると幸いです。占い師さんに限らず、「誰かの話を聞いてレスポンスをする」という作業には概ね応用できる考え方だと思うので、試してみてくれよな!
でもって、こういったことを日々Twitterでも呟いているので、ぜひフォローしてね。
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こちらの記事は、占いの役立て方を“占いを受けられる方”に向けて書いたものです。ももねこの「占いをこんな風に役立ててほしい」という想いが詰まっていますので、こちらもご参考いただければ嬉しいです。占い師視点で読めば、ゴール設定の参考になるやも。
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