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タロット占いをやってみよう!というとき、大アルカナ22枚から勉強を始められる方が多いかと思います。タロットはフルデッキで78枚あって、その内56枚の小アルカナに比べると22枚の大アルカナの方が覚えやすいように感じるかもしれません。
でもね、実は小アルカナの方が覚えやすいと私は考えているのです。何故なら、規則性がわかりやすいから!また、小アルカナは人間の日々の営み担当なので、具体的な事象と結びつけてイメージがしやすいです。大アルカナは概念的な話が多くて、タロットの世界観に慣れるまではハテナマークが出やすいです。
この記事では、私が実践した「小アルカナを要素の掛け算で覚える方法」をご紹介いたします。
タロットの小アルカナを覚えるコツ、「要素の掛け算」
タロットの小アルカナは、ざっくりと以下の要素で分けることができます。
- 4つのスート:ワンド・カップ・ソード・ペンタクル
├ スートに紐づく4つの属性:火・水・風(空気)・地
└ スートに紐づく4つの力:情熱・感情・思考・物質 - 数字:1~9、10
- 人物像:ペイジ・ナイト・クイーン・キング
例えば『ワンド 8』の場合、以下の要素を持ちます。
- スート:ワンド
├ スートに紐づく属性:火
└ スートに紐づく力:本能・情熱・衝動 - 数字:8(盛り上がる勢い)
- 人物像:なし
これらを掛け算すると、「“8”のように勢いのある“本能・情熱・衝動”」と読めます。「“8”のようにって何やねん」と思ったあなた、詳しい説明は後ほどします。今はとりあえず「盛り上がった勢い・栄光」というキーワードを頭に置いてください。
実際に『ワンド 8』の意味をインターネットや占いの本で調べてみると、「迅速・活動的・スピード感のある幸運」などと書いてありますね。情熱が勢いよく高まりまくった結果、何らかの力で棒が飛行するような状態になっているわけです。要は、「空も飛べちゃうほどの勢いと熱がある状態」なのですな。
もうひとつ例を出します。『ソード 8』です。
- スート:ソード
├ スートに紐づく属性:風(空気)
└ スートに紐づく力:知性・思考・言葉 - 数字:8(盛り上がる勢い)
- 人物像:なし
同じように要素を掛け算すると、「“8”のように勢いのある“知性・思考・言葉”」と読めます。『ソード 8』の意味を調べてみると、「行き詰まり・身動きがとれない」といったようなキーワードが出てきます。思考が高まりまくった結果、考えが膨らみまくって視界が狭くなり、八方ふさがりになってしまったのでしょう。
こんな風に、小アルカナは要素を掛け算することである程度の意味が掴めるようになっています。56枚まるまる全部覚えなくて大丈夫!4つのスート、10個の数字、4つの人物像を覚えればいけます。全部まとめると18種類です。大アルカナ22枚より少ないね!やったぜ!
ちなみに、数札は「人物像:なし」です。人物が描かれているカードでも、彼ら彼女らは「人間」という記号なのですね。「人物像」を要素として捉えるのは、コートカードのみといたしましょう。
まずは4つのスートを覚えよう
スートとは、以下の4つの象徴です。超ざっくりまとめます。
- ワンド:火
└ 反射的に湧き上がるもの、本能・情熱・衝動 - カップ:水
└ 柔軟でじわじわと広がるもの、感性・感情・情緒 - ソード:風(空気)
└ 削ぎ落とし整理するもの、知性・思考・言語 - ペンタクル:地
└ 具現化し現実化したもの、物質・現実・成果
さっそくですが、スートを覚える際の、でっかいでっかいコツをお伝えいたします。
それぞれのスートを表現する「ことば」を限定する。
これがどういうことかと言いますと、例えば『ワンド』を表現する際には「本能・情熱・衝動」という言葉に限る、ということです。それ以外の、例えば「感情」や「思考」という言葉は決して使わない。(各スートにセットする言葉は、さまざまな資料を参考にしながら選ぶといいと思います)
中には『ワンド 4』のように、「平和ですねえ、穏やかにパーティーが開催されて、安定した“感情”(気持ち)が見えますねえ」と言いたくなるような絵柄もありますが、ここはグッと我慢しましょう。「感情」は『カップ』専用!『ワンド』を表現するならば「情熱」でお願いいたします!
- スート:ワンド
├ スートに紐づく属性:火
└ スートに紐づく力:本能・情熱・衝動 - 数字:4(ものごとの完成・安定・固定)
この場合は飽くまでも『ワンド』ですから、「平和ですねえ、安定した“情熱”が見えますねえ」と、多少変な感じがしても愚直にスートの属性を守るのが吉よ。ここから補足していくと「平和ですねえ、今まで燃えていた情熱が落ち着いて、安定した様子でパーティーが開催されているようですね」みたいな感じで読めます。
前提として、小アルカナはスートありきで組み立てられたお話です。どんなに絵柄の雰囲気が「感情」ぽくとも、『ワンド』のスートである以上「情熱」およびそれに準ずるものの物語なのです。(ついでに言うと、「何故この絵で『ワンド 4』なのか?」を考えていくのもおすすめです)
ここが!ブレると!各スートの特徴が!ブレる!ボケる!あのカードとこのカード、何が違うの?となる。最悪、「小アルカナややこしいから嫌~」なんて。それを避けるためにも、各スートで使う言葉を限定して、意味を混ぜない・混乱させないことを心がけるとよいですよ。
次は数札の「数字の意味」を覚えよう
小アルカナは、1~9、10の数字に沿って物語が進んでいきます。謂わば、数字は物語の段階を示す記号です。これも、超ざっくりまとめます。
1~9でいったんひとまとめ
- はじまりはじまり、最もピュアなエネルギー
- 二元性・バランス、異質なエネルギー(男性と女性・陽と陰・外と内など)の出会い、疎通
- 多種のエネルギーの交わり、現象が明確になる
- 明確になった現象から生まれた、ものごとの安定・固定
- 安定は永遠ではない、諸行無常……対立・破壊・葛藤
- 混乱を経て得る調和、成果・勝利
- 調和を得た今だからこそ生まれる発展性・評価
- 評価と発展性をもって、いざ盛り上がった勢い・栄光
- 盛り上がりから成熟を得て実現する、具体的・物理的な行使
ポイントは上がり下がりしながら進んでいくところですね。4でいったん安定し、5で変化し、6でまた調和して、7で前を向き、8で一気に駆け上がって、9でがっつり手に入れる。1~9にかけてなだらかに登るお話ではなく、山あり谷ありのお話なのです。
10は到達地点、成れの果て
ビルの階段を思い浮かべてみてください。踊り場まで上って、少し足を止めてみましょう。くるりと振り返ると、ここまで上ってきた階段と、これから上る階段が一気に視界に入りますね。
私の場合、小アルカナの10という数字はこういうイメージで捉えています。要は、今までの道のり~完成と、これからの道のりに立つまでの間。到達地点であり、スタート地点でもある場所です。いったん到達しているので、そこには「やりきった姿」もしくは「成れの果て」が描かれます。
- 10. 最終的に得たもの、満ち足りた、過剰、1で生まれたピュアなエネルギーが最終的に得た形
例えば『ワンド 10』だと、もはや棒を自分の道具として扱えなくなっていますね。持ちすぎ、抱えすぎ、前も見えないくらい必死で歩いている。
- スート:ワンド
├ スートに紐づく属性:火
└ スートに紐づく力:本能・情熱・衝動 - 数字:10(最終的に得たもの、満ち足りた、過剰)
『ワンド』の物語は、こうして「本能・情熱・衝動」を過剰なまでに肥大させるところで階段の踊り場に到達します。階段を上がってきたはいいけれど、次の階段を上がるにはいささか荷物が多すぎる様子です。
要素を掛け合わせると、『ワンド 10』は「“本能・情熱・衝動”が過剰な状態」であり、それも「途中経過ではなく“結果的に”そうなっている」と読めますね。途中経過でちょっと情熱が過ぎちゃった、というニュアンスではございません。過熱した情熱の”成れの果て”、です。
もうひとつ、『カップ 10』を例に挙げます
- スート:カップ
├ スートに紐づく属性:水
└ スートに紐づく力:感性・感情・情緒 - 数字:10(到達地点)
『カップ 10』を要素の掛け算で表すならば、「“感性・感情・情緒”が満ち満ちた状態」です。絵の雰囲気からして喜ばしい感情が満ちているように見えますね。このカードには『カップ』の物語を経て感情的に成熟した二人(夫婦)が、その証としてカップでできた奇跡の虹から祝福を受けている様子が描かれています。『カップ』の物語は、目に見えないはずの「感性・感情・情緒」のエネルギーが、ご夫婦らしき二人の人物の前ではっきりと具現化するところで終わりを迎えます。
そして、ご夫婦の「満ち満ちた感情」の産物であり、さらに新たな「感性・感情・情緒」が流れてゆく先として、子どもたちが描かれているのかもしれません。終わりの後には始まりが控えている、とも言えます。
ちなみに、この子どもたちには奇跡の虹(上空にカップが並ぶ奇跡の光景)は見えていない様子です。これは子どもたちのカップの物語はまだまだ10に到達しておらず、故に見えないのだ、とも解釈できます。
さらに、コートカードの「4つの人物像」を覚えよう
小アルカナは数札の他に、コートカードと呼ばれる4種類のカードがあります。4つのスートに4種の人物像、計16人の性質が設定されており、本来であればそれぞれの具体的なイメージを描かねばなりません。が、これらも要素で分類ができるから大丈夫!理解の入り口にするために、超ざっくりとまとめます。
- ペイジ:勉強中・修行中・未熟
- ナイト:実務家・実行者・リーダー
- クイーン:受容・女性性・育成者
- キング:能動・男性性・管理者
『カップ ペイジ』を例に出しましょう
- スート:カップ
├ スートに紐づく属性:水
└ スートに紐づく力:感性・感情・情緒 - 人物像:ペイジ(勉強中・修行中・未熟)
このカードを要素の掛け算で表現するならば、「“感性・感情・情緒”が特徴の“若者”」です。多くの場合、「占う対象にこういった人物像を当てはめる」という読み方になるかと思います。もちろん、実際に若い人物を示唆することもあります。
もう少し丁寧に表すと、「“感性・感情・情緒”面で“未熟”さが見られる人物像」という風に言えますね。未熟でピュア故、カップの中にいるおさかなさんと無邪気にお話ができるのです。
さらに『ペンタクル キング』を例にします
- スート:ペンタクル
├ スートに紐づく属性:地
└ スートに紐づく力:物質・現実・成果 - 人物像:キング(能動・男性性・管理者)
同じように要素の掛け算で表すと、「“物質・現実・成果”が特徴の“おっさん”(成熟した能動的エネルギー)」です。
実際のリーディングでは、こういう人物像を占いの対象に当てはめます。たとえ可憐な女子高生にこのカードが出たとしても、当てはめます。その子の内に潜む(もしくは顕れている)おっさんを探すのです。「君、バイト代で株やってるの!?若いのにめちゃくちゃしっかりしてるね……」ってなこともあるかもしれません。(ついでに言うと、クイーンの場合は株でなくて定額預金)
タロットの小アルカナを覚えるコツ、まとめ
- 各スートごとに使うことばを限定する
- スート×数字の意味 or スート×人物像で要素の掛け算をする
まずはこれらを意識して、小アルカナをざっと覚えてみるのがおすすめです。
繰り返しになりますが、56枚の意味を全部暗記しなくて大丈夫!4つのスート+10個の数字+4つの人物像、計18種類の要素を覚えて組み合わせれば、小アルカナの扱いがグッと楽になるはずです。
念のために書いておきますが、これはタロット占いの入り口を広げるための工夫です。「このやり方だけでは全然足りない!」という先達の声も聞こえてきます。もちろん、この他にもこの先にも、もっともっと面白い勉強の道が無数に伸びていますからね。その道を自ら選んで行くための、最初のつまずきを解消するためのヒントとしてこの記事を役立てていただければ幸いです。
タロットの小アルカナを覚えるコツ、少しだけ応用編
最後に、リーディングをもっと面白くするための応用編を書いておきます。
各カードに潜む「別のスート」を探す
先ほども例に挙げた『ソード 8』を見てみましょう。
- スート:ソード
├ スートに紐づく属性:風(空気)
└ スートに紐づく力:知性・思考・言語 - 数字:8(盛り上がった勢い・栄光)
こちらのカードは「“知性・思考・言語”が“盛り上がった”状態」、考えが膨らみきって頭の中がこんがらがってしまったイメージです。これではなかなか身動きが取れません。
ここから絵を見ていきましょう。布でぐるぐる巻きになったこの人物は、視界と手の動きは封じられつつも足は動きそうに見えます。ぐるりと取り囲むように見える剣も前方には配置されていません。ということは、そこからこの「剣の囲い=思考の檻」から出られることを示唆している、と読めます。
描かれた人物の足下には「水」があります。これが、このカードに潜む「別のスート」です。今回は水なので『カップ』ですね。
『カップ』を表す言葉は「感性・感情・情緒」です。これは、思考の檻から抜け出すヒントとして「水=感情」がある、とも読めるのではないでしょうか。「思考だけでなく、感情にも注目してみ?そこから抜け出す呼び水になるかもよ」というイメージ。
こんな風に、このカードに潜む「別のスート」の存在を探してみると、「“知性・思考・言語”が“盛り上がった”状態」から抜け出すためのヒントも得られるわけです。
ね、何だか占いっぽいでしょ。
各スートを表す言葉の制限に慣れ、要素の掛け算に慣れたなら、こういう感じでカードに潜む「別のスート」も探して足していくと面白いですよ。
以下の記事で、大アルカナ・小アルカナをイメージで覚える方法をご紹介しています。
丸暗記が難しい~!もうやだ~!となってしまったら、こういう見方をしてみてもいいかもしれない。という記事です。ご参考あれ!
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