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守りすぎ注意 – 小アルカナ ワンド 9

『ワンド 9』のカードには、棒(ワンド)の柵の前に立ち棒を抱える男性が描かれています。棒をぎゅっと抱えているせいか肩は縮こまり、遠くを見る目はどこか不安げで、表情からは緊張が伝わってきます。しかし背景はきれいに晴れており、カード全体を見るとあまり暗い印象や不安な印象はありません。

タロット 小アルカナ ワンド 9

先日、某フリマアプリでアイテムを出品しました。普段から自分たちの商品をオンラインショップに並べてはいるものの私物をフリマアプリに並べるのは初めてのことで、どのように振る舞えばよいのだろう、どんなルールや慣習があるのだろう、と妙に緊張してしまいました。フリマアプリの仕組み自体はとてもわかりやすく、何も知らない状態でもすんなり出品までたどり着けるようだったので、そのあたりは心配も不安もありません。

私が不安に感じたのはコミュニケーション面でした。個人間での売買といえば某オークションサイトだった頃からインターネットを使っている身としては、よりよい出品者/購入者であるためには高度に空気を読まねばならない、という恐れが心のどこかにあったのです。

もちろんそれはフリマアプリも同じで、いわゆる普通より下のレビューが多いユーザーとは取引を控えたい人がほとんどだと思います。なので自アカウントの評価を下げないように振る舞うのは大前提なのですが。

フリマアプリは、そのあたりの振る舞いもアプリ内の仕組みで強烈にサポートしていました。出品者・購入者のいずれにも「次の行動」を徹底的に示し続けるのです。取引が開始するや否や飛んでくる指示、やるまで消えない指示、やるまでにラグが生じた場合はおそらく定期的にリマインドが飛んでくるのでしょう。指示もただ「これをやれ」と示すだけでなく、逐一ガイドや例文、所によってはAIのサポートが入ります。迷っている暇がありません。

気づけば、最初に感じていたコミュニケーションへの不安が吹き飛んでいました。過去の某オークションサイトなどだとシステム的にユーザーの動きをカバーできない部分があり、そういったあたりのバランスを取るためにローカルルール的な暗黙の了解的なものが機能していたように思います。それ故に初心者はまず「様子を見る」「ルールを覚えてから参加する」といった動きが求められ、その見えない圧がコミュニケーション面への不安を生んでいた気がします。

今回使い始めた某フリマアプリは、そういった「暗黙の了解」ができるかぎり生まれないように設計されていると感じます。ひとつだけローカルルールの存在を疑うことがあったものの、少し調べるとすぐに公式のブログで明快な答えが提示されているのを見つけました。それでも「暗黙の了解」が散らばっているのでしょうが、「公式の見解、ルール」があればそちらが正解になります。普通に取引をする分にはヘンに気を張らなくても大丈夫そうです。

『ワンド 9』は根拠のない不安を示します。今回であれば十数年前の記憶を引っ張り出して勝手に不安になり、「買うのはいいけど売るのはな……」と勝手にハードルを上げていた私がまさに『ワンド 9』的です。いざ始めてみると流れるようにタスクを示され、ガイドされ、不安を思い出す間もないうちに気づけば取引が完了していました。そしてその「何か知らんけどめっちゃ簡単にできた」という体験を得ると、次の出品時にはもう『ワンド 9』的な感じにはなりません。

もちろんトラブルはあるでしょうし、巷の噂を見るかぎりトラブル時のあれこれはフリマアプリ側には頼れなさそうですが、それはそれ。イレギュラー対応は別の話です。ひとまず通常フローを恐れずにいられたら、なるべくイレギュラーを起こさない・トラブルに遭わないように工夫をするという『ワンド 9』の有効活用ができます。むやみやたらと恐れる・怖がる・不安がる『ワンド 9』は思考や行動を阻害しますが、適切な範囲で不安がる『ワンド 9』はむしろ思考・行動をサポートします。いわゆるリスクヘッジです。

リスクと向き合うとどんどん縮小傾向で考えてしまう、目標や目的を捨ててでもリスクを回避しようとする……そういった傾向が続くようであればぜひ『ワンド 9』を思い出してみてください。もしも自分の不安が思考・行動をサポートするでなく阻害する『ワンド 9』になっていたら、一度その不安自体の在り方を疑ってみるといいかもしれません。

記事を書いた人

小濱香織(ももねこ)OBAMA KAORI

文章を書いたりコードを書いたり喋ったりする人。 このコラムでは主に占い(タロット・西洋占星術)の記事を書いています。 園芸とアクアリウムと自転車とバスケ観戦が好き。 とにかく楽しく生きています。

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