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でっかい責任がのしかかる – 小アルカナ ペンタクル キング

『ペンタクル キング』は、見てのとおりとても落ち着きのある成熟した人物を示します。「ペンタクル」のスートなので、「物質・現実・成果」の分野で成熟している人物です。実績と財産を成し、豊かな暮らしを粛々と遂行する、そんな頼もしい人物像が想起されます。

立派な石造りの椅子には牡牛とぶどうの彫刻が施され、豊かさを象徴しています。服もぶどう柄、そればかりか人物の周りにはぶどうがいきいきと茂っています。

タロット 小アルカナ ペンタクル キング

『ペンタクル キング』は、他のスートのキングたちに比べて何だかシブい顔をしています。どーん!と真正面に座る構図、斜め下に投げられる視線、どうにも重そうな腰……服の柄のぶどうと椅子のまわりに生えているぶどうがつながって見えるせいか、もはや椅子に拘束されているように見えなくもないです。

実際のところはどうだかわかりませんが、「物質・現実・成果」の分野で大きな成功を収めると、なかなか自由に動きにくくなるのかもしれないなぁと思わせる絵柄です。特にこのキングは大きなお城の一角にいるようですし、お城があるということはきっと街もあって、そこに住まう人々の暮らしもこの人物の両肩に乗っかっているはずです。よーし、冒険に出るぞ!なんてことも言えそうにないですし、新しい施策を導入しようにもキング一人の独断では叶わないかもしれません。政治的なアレコレや権力争い的なアレソレもきっとあるでしょう。それはもう、こんな表情になっても仕方がないように思います。

たくさんの物質や現実世界での深い存在感、大きな成果を得る or 得ようとすると、それらをすべて一人で面倒を見るのはなかなか難しくなります。フリーランス同士で会話をしていると、「法人化するかどうか」という話になったりしますが、そのときの論点も「どれくらいのモノ・カネ・ヒトが動くか、動かすポジションに立つか」になりがちです。事業や案件の規模だけでなく、自分自身のポジションがどういったものか、というところも検討の要素として大きく関わってきます。

場合によっては、キング的なポジションには収まらず、自由に動けた方が都合がいいこともあります。キング的なポジションに収まるとしても、『ペンタクルのキング』ではなく「ソード」「カップ」「ワンド」の方がいい場合もあります。世の中にはさまざまなポジションや役割があり、それらが複雑に絡み合って成り立っているため、みんな必要不可欠な存在なのです。

その中で『ペンタクル キング』のポジションに座し、さまざまな重責に耐えながら役目をまっとうしている人たちには素直に尊敬の念が湧きます。「物質・現実・成果」の分野で大きな成功を収めている人物、と書くと「権力とお金を持っている人かぁ、いいなぁ」と純粋に思うこともあるでしょうが、その裏にあるさまざまなしがらみや責任を想像すると、簡単に「なりたいなぁ」とは言えなくなりますね。

記事を書いた人

小濱香織(ももねこ)OBAMA KAORI

文章を書いたりコードを書いたり喋ったりする人。 このコラムでは主に占い(タロット・西洋占星術)の記事を書いています。 カメラと園芸とアクアリウムと自転車とバスケ観戦が好き。 とにかく楽しく生きています。

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