『ソード 5』のカードには、満足げに剣を抱える男性と、その背後でうなだれる男性たちが二人描かれています。空にたなびく雲は激しく形を変えており、また人物たちの髪や衣服も強くなびいているので、おそらくこの場には強風が吹いていそうです。ただし、海は波立たず凪いでいます。

先日、美容院へ行きました。昨年の今頃と比べると白髪の量が減ったように感じる、という話から、「ストレスで増えた白髪はストレスがなくなると元の色に戻る」と教えてもらいました。昨日の今頃は本当に本当に忙しく、考えることが多すぎてかなり疲れていたのです。自分でも笑ってしまうくらい白髪が増え、老けました。
『ソード 5』はソードのスートなので「知性・思考・言語」を象徴します。そこに5という数字のエネルギー「対立・破壊・葛藤」が掛け合わされ、あまり純粋ではない思考、スムーズかつ平和的なコミュニケーションのためではない思考を連想します。
そして、5の前には4があります。4は「ものごとの完成・安定・固定」を示しますので、4から5に進んだ際は、一度安定したのものを破壊する作用が求められます。その先の6は安定する数字で「混乱を経て得る調和、成果・勝利」を示しますから、5はある意味で必要な混乱・破壊であると言えます。一度安定したものがそこでとどまり続けないように破壊し、混乱させ、その中に残ったものやそこから進歩したものを拾い上げて調和を得る……という作業は、完成を目指す過程では絶対的に必要なものではあるものの、ものすごいエネルギーを必要とします。
そんな感じの思考のエネルギーにまみれて疲弊していたのですから、白髪が増えまくったことにも納得です。私の毛根にも葛藤が伝わり、色素が破壊されたのだと思います。とんでもない副産物です。思考のエネルギーは本来目に見えないものですから、こうした副産物で特別に視認できたと思えば、タロット占いをする者としてはちょっとラッキーなような気もします。
実際に『ソード 5』の時期を経て、私たち自身の考え方やルールが大きく変わりました。「ソード」の切り分ける力・削ぎ落す力がふんだんに発揮され、芯がはっきりし、良い妥協と悪い妥協もはっきりしました。
4のエネルギーは安定しているが故、そこに留まり続けると柔軟性を失います。まだ未熟な段階ですから、キャパシティも大きくありませんし、キャパシティや実力に見合った取捨選択をする余裕もありません。その状態で無理やり安定し続けようとしがみついてしまうと、あちこちに無理が生じて近いうちに崩壊を迎えます。「そろそろヤバいかも」と気づいた段階で勇気をもって5に進むか、見て見ぬふりをして決定的な5の訪れを待つか、どちらがよいかはわかりませんが、5の「対立・破壊・葛藤」はいずれにせよ通過することになる地点だと覚悟しておいた方がいいのかもしれません。