誘惑・堕落・浮気……まぁ何とも人間らしいキーワードが並ぶカードです。人の心って、罪深いわよね。構図が『恋人』のカードに似ていたり、悪魔のポーズが『法皇』と似た感じになっているのも、このカードの面白いところだよ。
基本的な意味

- 堕落・誘惑
- 悪癖・依存
- わかっちゃいるけれどやめられない
『悪魔』のカードが出てくると、よくお客さまから「怖い!」って言われるんですよ。そりゃそうよね~、でかい悪魔が二人の人間を飼っているのだから。その人間たちは角や尻尾が生えていて、悪魔になりかけています。
でもこの人たち、全然慌てていないように見えるよね。逃げようとしていないし、苦しくもなさそう。よくよく見てみれば首輪も緩くて簡単に外れるんじゃない?
「ここにいるのはよくないってわかっているんだけれど、案外居心地いいんだよな……」「どんどん健康な生活から離れていっているのはわかるんだけれど……やめられないのよね……」
「だからこのままでよくな~い?」
なんていう会話が聞こえてくるような気がしませんか。「あかんとわかってて、やめてへん」こと、きっと皆さまにもあるんじゃないでしょうか。程度の差こそあれ、人間というものは堕落の種を持っているのではないでしょうか。私の場合は特に食欲周辺に持っています。
ただ個人的には、悪魔に囚われるっていうのが絶対に悪かと言うと、そうでもないんじゃないかと思っている。そりゃあ欲に溺れきってると良くないことの方が多そうですよ、いろんな面で実生活に支障も出るし。
でも、欲って人生を発展させるために必要なものだとも思うのです。もしも何らかの理由で欲を出せないでいるのなら、ちょっとくらい悪魔に手を貸してもらってもいいんじゃないかな?
というわけで、普通に人生を楽しんでいるときにこのカードが出ると「ちょっと何かに溺れすぎじゃない?大丈夫?」ってなる。一方、欲を抑圧しているときに出ると「あ、人間らしいところがちゃんとあるんだな」ってニヤニヤしちゃう。今は何らかの理由で欲求を抑え込んでいるけれども、「ダメなラインまで欲しがっちゃえる」ところもあるんだな!って思うのだ。
逆位置で出たら?
- 堕落・誘惑、悪癖・依存から脱する、わかっちゃいるけれどやめられないことをやめる
- 堕落・誘惑、悪癖・依存、わかっちゃいるけれどやめられないことにますますハマる
- 何ならそのまま溺れきる
欲が強い~!深い~!『悪魔』の膝元から脱するか、もしくは悪魔になりきるか。いずれのニュアンスで出ているのかは、周りのカードのコンディションで推しはかります。(このカードに限らず、カード単体で逆位置を読むのは結構難しかったりする。特に大アルカナ)
例えば、「カップ 10 正位置」の影響を強く受ける形で出ていたら「家族や親しい人たちとの絆によって『悪魔』から逃れる」と読めます。もしも「カップ ナイト 逆」の影響を強く受ける形で出ていたら、「巧みに悪い誘いをかけてくる人物によって、さらに『悪魔』の方へ向かう」と読めます。
もしも『悪魔』が逆位置で、しかもコンディションが悪そうなカードに囲まれて出てきたら、何よりもまず本人の状態・状況を確認してみることをおすすめします。
冷静に考えて、「ダメだとわかっていて溺れるという選択肢を選びそうな状態」って、結構ヤバくないですか?心身もしくは環境、もしくはそれ以外の何らかに、ダメなことを選ばせようとする要因があると推察できます。
自由で明るい場所で生きたいという欲求よりも、不自由でも暗くてもいいからこの状態でいたいという欲求が大きい。それって一体どうしてなんだろう?……本当の『悪魔』は、きっとそこに潜んでいるんじゃないかと私は思うのですよ。
上記の記事で、大アルカナ・小アルカナを一覧でご紹介しています。ご参考あれ!