大アルカナの5番『法王(教皇、司祭)』です。
伝統や制度など、人々が守り受け継いでいくものを示します。
大アルカナ『法皇』の基本的な意味
- 伝統を重んじる
- 規律や規範の制定・施行、道徳
- 模範的なふるまい
宗教の指導者である法王が中央に座っています。足下には2人の信徒がおり、また法王が座す段には鍵が交差する形で飾られています。描かれているのは同じ信仰をもつ人々ではあるものの、権力をもつ法王と持たない信徒は明確に分けられているように見えます。
伝統や規律を守るためには、模範となる存在が必要です。法王はそれを体現し、また信徒たちに守らせるため説教や指導を行っているように見えます。信徒たちは赤い薔薇の衣服と白い百合の衣服にそれぞれ身を包み、熱心に聴いている様子です。こうして伝統や規律が守られ、人々を律する道徳として受け継がれていくのでしょう。
色の要素
- 赤:情熱、行動力、生命力
- 白:純粋さ
- 黄:喜び、祝福
逆位置のキーワード
逆位置はカードの基本的な意味に対して、否定・過剰・不足・未達のエッセンスを示します。
- 不道徳なふるまい
- 規律や規範の強制、糾弾、迫害
イメージ
『法皇』はお父さん的な、それも『皇帝』のお父さん感とはちょっと違って、「権力と効力で秩序を保つ」といった感じのイメージです。『皇帝』は「権力と効力で統率する」感じ。
法皇は、人間が人間のために作った法律をバックに権力を持っています。その法律の上には神の教えや倫理観といった神秘の要素があって、みんなが納得しやすい内容になっている。法皇は、飽くまでも「人間同士の秩序を保つために“用意された枠組みの中で”秩序を守る」のがお仕事なのです。
そしてそこには情状酌量も存在するのですね。人が人のために作ったルールを人のために使う。たとえ罪を犯した者であっても、状況や人情を鑑みて裁きを下さないと周りから大きな反発を食らうことは必至で、なおかつそれが法皇自身の立場を脅かす脅威にもなるわけです。
これが『正義』との大きな違いかな。『正義』は神さまだから、人間の都合なんてお構いなしなのである。
法皇が逆を向くと、まるで彼自身が「法」であるかのように振舞ってしまう様子を表します。私が法律だ!みんな従え!だなんて傲慢な状態になってしまうのね。
まぁ人間だからそういったこともままあるでしょうが、そうなっちゃったら大変だ!いつ反乱分子が出てもおかしくないぞ!法皇のバックにある法律やその上にある神秘様要素があるからこそ、法皇は法皇として権力を行使できるわけですね。権力っていうのは民衆から与えられるものであって、間違った使い方をすると剥奪されても仕方ないのだ。
このカードが場に出たら、一旦社会的な視点や古くから常識とされてきたものに目を向けてみるといいです。不慣れな状況であればあるほど、相手や相手の法を理解するところから始めると、交渉も調整もしやすくなるからね。そういう意味で、「郷に入りては郷に従え」を実践してみるとうまくいったりするかもしれません。「形式を重んじる」という姿勢を軸にして、法皇が何を表しているのかを読むといい感じです。
以下の記事で、大アルカナ・小アルカナを一覧でご紹介しています。ご参考あれ!
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