大アルカナの18番『月』です。
満月の下で吠える狼と犬、そのさらに足下には山の向こうへ旅立とうとする1匹のザリガニが描かれています。
大アルカナ『月』の基本的な意味
- 想像力
- 虚偽・欺瞞・不安
- 曖昧・不透明・不確定
大きく輝く満月の下に、2本の塔が立っています。その間には黄色い道が続き、険しい山の向こうへと到達します。手前には狼と犬がおり、さらにその手前にはザリガニが1匹、自らの半身を出しています。
このザリガニは水(精神世界)から大地(物質世界)へ上がり、そこから続く道を行こうとしているように見えます。しかし、狼と犬を恐れ、水場から上がる決心がつかないのかもしれません。狼と犬は頭上の月に吠えるのに忙しく、現時点ではザリガニに気づいていない様子です。
色の要素
- 黄:喜び、祝福
- 青:精神性
- 緑:生命力、みずみずしさ
- 橙:本能
逆位置のキーワード
逆位置はカードの基本的な意味に対して、否定・過剰・不足・未達のエッセンスを示します。
- 想像力の欠如
- 不安の解消、または増大
- 曖昧さ・不透明さ・不確定要素が明確になる
- 迷宮入り
イメージ
見るからに薄暗いカードですね。月はタロット以外でも不安定で冷たい存在として描かれることが多いです。位置も形もごりっごりに変化するからね。私にとっての「月」はグリム童話の「七わのからす」に出てくる月ですが、あれは本当に怖かった!いまだに思い出します。
『月』のカードは何だかすっきりしない単語が並びがちですね。ザリガニさんは犬と狼に見つからないかというたいそう大きな不安を抱えている。犬と狼はまんまるのお月さまに夢中だけれども、それもいつ雲がかかって隠れてしまうかわからない……不安ですね。ザリガニさん、移動速度遅そうだもんね。
そもそも不安って一体何なのでしょう?自分を護るための仕組み?危険を避け傷つくことを避けるために備わった本能?大切なアラートではありますが、これに囚われすぎるとまったく動けなくなってしまう。
『月』のカードが出たときは、まず穏やかな精神を取り戻す必要性があるかもしれません。何故不安を感じるのか?不安が生まれるのか?怖いのか、怯えるのか?という、カードからの問いかけと捉えてもいいかも。
描かれた月は穏やかな表情をしています。ザリガニさんの足元を照らして導きつつ、大きな不安の元凶である犬と狼の注意を逸らしてくれている。雲だってないし、きっとしばらくはこの状態が続くでしょう。不安に駆られて一歩踏み出せないのは、冷静に状況を観察する余裕を失っているから、とも考えられます。
「ええから落ち着きや。今宵は満月、安心して出かけるといい」
ひょっとしたら、月はそんな風に語り掛けてくれているのかもしれません。
逆位置で出ると、不安が晴れてきたー!晴れる要素が出てきたー!と読んでよさそうです。ザリガニさん、これでちょっと安心ですね。『月』が逆位置で出てくると、まだまだ目の前は暗く怖いものや恐れはたくさんあるものの、それらが「軽くなってくる」という風に読めます。落ち着きを取り戻したのでしょうか。
落ち着いて状況を見渡して、やさしい月明りを信じれば、狼や犬がわうわう吠えている足元をどうにかすり抜けられる。向こうに見える山々は厳しいし、目の前に続く道だって自分の短い脚で歩ききれるものかどうかもわからないけれど。でも、ここでずっと不安に思いながら暮らしていくことにはならなさそうですね。
この段の冒頭にも書きましたが、グリム童話の『七わのからす』の月、めっちゃ怖いんですよ。それでも主人公は何とかそこをすり抜けて目的地まで行けるんです。怯えながらも進む勇気!そういえば太陽も怖いな、このお話……でもって星は優しい。ちょっとだけタロットっぽいですね。太陽は時に乱暴で恐ろしいけれど、星はそんなことないもの。
さらに関係ないですが、私の大好きな『ワンワン物語』では、“月はひんやりしていて薄荷味で美味しい”と書いてありました。何それ食べてみたい。
どちらも私が大好きで何度も何度も読み返した絵本です。タロットとは直接関係ないですが、おすすめしたいのでご紹介しておきます。
以下の記事で、大アルカナ・小アルカナを一覧でご紹介しています。ご参考あれ!
DUCK WORKSの占い、やってます。
具体的な相談ごとがあるとき、コミュニケーションを取りながら細かく掘り下げて「考えの種」が欲しいときは、占いメニューがおすすめです。タロットと西洋占星術をメインに占います。
京都市の東山三条にある事務所での対面占い、Zoomでのオンライン占いが選べるよ!お好きな方でいらっしゃいませ。